代弁師 2 (ページ14)

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涼介side

僕は白い空間に佇んでいた。

どうやら、僕に会いたい霊がいるみたいだ。

すると白い空間が歪み、若い男子が姿を現した。

ちょっと男っぽさが垣間見える彼は高校生ぐらいか。

彼が僕に気付く。

ー貴方は…。

涼介「僕は代弁屋。生者に死者の声を届ける者。君は誰かに伝えたい事があるんだね」

僕の質問に少し躊躇いを見せた彼は少し間を置いてから頷いた。

彼には幼い頃、一緒に過ごした友達がいた。

彼はその子が大好きだった。

幼いながらもその子に告白して、付き合うことが出来た。

でも、10歳の時にその子は遠い場所に引っ越していった。

その日からずっと、電話や手紙、中学になってからはSNSで連絡を取り合い、1年に1度は会っていた。

彼は高校3年生となり、卒業後彼女の住む町に住もうと決めた。

大学受験日、終わったら会う約束をしていたが、その約束は叶わなかった。

何故なら、彼はその1週間前に命を落としてしまったから。

そして、彼は気が付くと彼女を探しさまよっていた。

なるほど。

涼介「じゃあ、その子に会いたいんだ」

ーうん。会って謝りたい。約束を守れなかったこと。

涼介「そっかあ。…分かった。でも、時間がかかるかもしれない」

ー名前と住所なら分かってる。

涼介「うん。それは是非教えてほしいけど、僕の体調が、ね」
　

そうなんだ。

僕の体調は今、最悪な状態。

数日前から体調はあまり良くなかったのだけど、昨日、悪化して裕翔先生から安静を言い渡されてしまった。

因みに兄ちゃんズからは数日前から言われていたけど。

だから、今は代弁が出来ない。

他の代弁屋に頼むという選択肢もあるけれど…。

僕を頼って来てくれたのだから、出来れば僕がしてあげたい。

ただ、彼が早く彼女に会いたいのならば、それは他の人に頼むしかない。

僕は全てを説明した。

涼介「そういうことなんだけれど、どうする？」

待つか他の人に頼むか。

彼に聞くと視線を下に向けて考える。

少しの間が開いて、彼は『貴方に頼みたい』と言ってくれた。