代弁師 2 (ページ13)

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罹患の代弁師　1 ページ13

慧side

久しぶりに大貴が付き人を引き連れて、我が家にやって来た。

一応、地ノ一族の当主なので俺と光がもてなしてやっている。

大貴「何か、お茶じゃないものが煮だってる」

慧「大丈夫。毒は入ってないから」

大貴「いやいや。絶対入ってるって！」

慧「チッ」

勘のいい奴め。

侑李「相変わらずだね。ここまで嫌われてると清々しいよ」

大貴「あははは…はあ」

光「ところで大貴」

大貴の横にいる学服姿の女子にちらりと視線を向けた。

俺もつられて体が透き通っている彼女を見る。

光「モテないからって女子高生に手を出すのはどうかと思うが」

大貴「いやいやいや。違うって」

慧「人間に相手にされないからって、霊に走るなんて」

大貴「違う違う違う！彼女は違うから！」

大貴の横で『え？』と青ざめる彼女。

『大貴さん。女子高生が好きなの？』

俺は霊聴の才がないから、多分そう言っているのだろうと推測する。

大貴「本当に違うから！涼介。そう！涼介に用事！彼女の事が知りたくて！」

慧「やはり、涼介か」

光「涼介に用事だと！」

大貴「うわぁ！待て待て！落ち着け！慧！毒入りのお茶を作るな！光！テーブルをひっくり返そうとするな！訳の分からないお茶がかかる！」

侑李「まっ、待って！まずは話を聞いて！」

俺達の殺気を受けながら、2人は慌てて弁明する。

だがな、大貴よ。

慧「お前はいつもいつも、涼介に負担かかるような依頼を持ってくるな」

光「今日こそは息の根を止めなくては」

俺はぐつぐつと泡立っているどす黒いドリンクを。

光はテーブルに力を込めた。

『待って下さい！私、本当に困っているんです！』

この光景を一大事と捉えた彼女が何かを訴えながら、間に入った。

……………。

慧「彼女が何に困っているのか知りたいと。そんなの地ノ一族で調べればいいだろ」

大貴「それが全然分からないんだ」

侑李「彼女は常に移動してるらしく手掛かりがなくて」

光「ほお。で、涼介と話をしてもらおうと」

大貴「そうそう。で？涼介は？」

光「残念だが涼介は今、体調を崩して寝込んでいる」

大貴「え？まじ？」

慧「まったく、お前はど～して涼介の体調が良くない時にばかり、面倒を持ってくるのか」

光「今まではそれでも何とかなったが、今回だけはダメだな」

大貴「参ったな」

頭を抱える大貴だが今回ばかりは諦めてもらうしかない。

彼女には悪いが。