3 ページ10
俺の家庭は兄弟が多く、この頃の俺は来年学問都市に通う受験生で弟達の面倒を四六時中見る事が出来なかった。
それは雄也も同じ事で。
慧は頭脳の高さから、子供の世話で忙しい母の代わりに研究所に行ったり、博士号を取る勉強をしたりと家の事まで手が回らなかった。
実はこの時期、圭人が大きな事故に合い、医療カプセルで完治したのだが後遺症でリハビリが必要とされていた。
加えて、3歳になる双子の裕翔と侑李は体が弱く、すぐに病気にかかっていた。
最も、今は健康だが。
家事を一番手伝っていたのは光で大貴の面倒もほとんど光がしていた。
そんな家庭環境の中、涼介の問題が発覚した。
いや、以前より兆候はあった。
そう。
筋力の発達が遅いこと。
5歳の涼介は走る事は出来たがそのスピードは他の子と比べると圧倒的に遅い。
体力もなく、息もすぐに切れる。
握力だって普通の6歳児が9〜10kgに対し、涼介は5kgしかなかった。
何故、涼介の筋力の発達が遅いのか。
その原因を調べることが出来るのは研究所の医療チームのみ。
などの理由から涼介を研究所に預ける事となった。
光「涼介が家に殆ど帰ってこなくなったのはそういう訳だったのか」
圭人「俺のせいだったんだね」
裕翔「圭兄だけじゃない。俺のせいでもある」
侑李「それは僕も同じだよ」
落ち込む3人。
俺は隣にいる圭人の頭に手を乗せる。
宏太「それは違う。お前達のせいじゃない。俺だって、自分の事で手がいっぱいで家の事をほとんど手伝わなかった」
雄也「俺もそうだ」
光「それに研究所に残る事は涼介も望んだことだと言っていたじゃないか。そうだろ」
光が視線を両親に向けて同意を求める。
両親も『そのとおりだ』と頷いた。
宏太「そういうことだ。お前達が気にやむことはない」
大貴「そうそう。第一、家に一番貢献してないのは俺だしな」
光「言われてみればそうだな」
大貴「おい！そこは否定するところだろ」
安心したのか3人の表情が和らぐ。
最も。
大貴が貢献してないと言っていたが、双子が病気になった時に世話をしていたのは他でもない10歳の彼だった。
研究所で生活をする事となった涼介だったが完全に家族と離れるわけにもいかず、月に3、4回は家に帰った。
だが、その回数が減る……いや、外に出る事さえも難しくなった出来事があった。
それは涼介の筋力の発達がなぜ遅いのか。
その答えにあった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hina(プロフ) - 涼介さん» 随分前にコメント下さったのに返事遅くなってご免なさい。面白いと言ってくださって嬉しいです。有難うございます。 (2021年4月21日 22時) (
レス) id: 255c6bfbbf (このIDを非表示/違反報告)
涼介(プロフ) - 天才すぎます。はい、ただただオモロい。失礼致しました。w (2020年12月26日 19時) (レス) id: d7d73abaf2 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - Rare fruitさん» 有難うございます。以前にも誉めて頂いて嬉しい限りです。尊敬は照れますね。 (2019年3月15日 7時) (レス) id: 0f49b991e3 (このIDを非表示/違反報告)
Rare fruit(プロフ) - 完結おめでとうございます。hinaさんの作品はどれも最初から設定がしっかりしていて、わくわくする展開の連続で、すごいなあと尊敬しています。新作すごく楽しみです！待ってます！ (2019年3月13日 22時) (レス) id: 362d8b3af6 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - JUMPLOVEさん» 本当にいつも嬉しいお言葉、有難うございます。来週あたりにお話、出せたらいいなと思っております(あくまでも予定ですが) (2019年3月7日 22時) (レス) id: 0f49b991e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hina | 作成日時：2019年2月1日 21時
