とある兄弟の未来物語 3

ゆーや ページ26

今、父さんは何て言った？

父さんの言っている事が理解できない。

もしかして、俺の聞き間違いだろうか。

うん。

きっとそうだ。

そうであってほしい。

そう願いをこめて、隣にいる宏太に父さんが言っていた事を聞き直そうと思った。

でも、宏太を見ると口を開けて唖然としている。

とても聞ける雰囲気じゃない。

だけれども、宏太だけじゃなかった。

兄弟を見渡すと皆も呆然としていた。

言葉が出てこない俺達に対し、父さんはもう一度、信じられない真実を語った。




父『世界が汚染されたのは3年前ではなく、実際は60年前だ』




これで2回同じ事が聞こえた。

聞き間違いじゃない。

父さんは世界が汚染されたのは『60年前』と語った。





言葉を失った俺達に思考を整理する為の静寂という時間が訪れた。

それでも考えがまとまるなんてことはない。

何をどう、聞いたらいいのか分からない。

俺が戸惑っていると宏太が少し掠れた声で反応した。

宏太「じゃあ、何か？あれから60年が経ったと言うのか？」

父『そうだ』

雄也「俺達が眠っていたのは2年ではなく60年？」

母『正確には59年よ』

宏太「俺達は……嘘を教えられていたのか……？」

『嘘』という言葉に俺は少し動揺する。

そんな俺に構わず、父さんはしみじみと答える。

父『……そう言うことになるな』



60年ーー。



それが俺達に隠されていた最後の真実だった。

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