窃盗犯 東村 ページ28
私と宝塚さん、美希ちゃんはこの前の斑目くんのプレゼンで鯨岡さんにウェルカムと言われた窃盗犯、東村のヤサが見える向かいのアパートを借りて張り込んでいた
「東村に動きはありません」
「了解、あとは我々が」
「所轄の刑事さんたち夜も張ってるんですか？」
「一応…そやけど手口捜査でも東村は昼間しか仕事せぇへん。年も年やし目が悪くて夜は見づらいらしいわ」
「でも三桁星って出所してまだ2年ですよ。それで三課が扱うほどの空き巣に入ってるってことですか？」
「おまけに引退したという説もある。何か引っかかんねん。何せ斑目のネタやから」
『あ！』
「どないした、A」
『ちょっと見てください！』
双眼鏡を宝塚さんに渡す。不思議そうに美希ちゃんも持っていた双眼鏡を覗いた
「おい、あれ…足引きずっとるやないか！」
『戻りますか、鯨岡さんに報告しなきゃ』
「そうやな、撤収や」
ーーー
部署に戻ってさっそく斑目くんを見て怒鳴る宝塚さん。鯨岡さんには戻る最中に電話で簡潔に報告しておいた
「あほんだら！！足が悪くてどうやって空き巣に入んねん！」
「え〜つまり…この所轄の盗犯係の刑事2人に接待を受けガセネタをつかまされていた。これが“斑目氏天狗になった事件”の真相です」
「どういうことです？」
「捜査本部を立ち上げた所轄は、原票つまり得点を稼げる。だからどの所轄も自分の所で立てたがる」
「あぁ、それで警視庁側の斑目くんが接待を受けたと」
「最近原票が挙げられず困ってたらしい、汐留署は」
「皇子山さんの話だと…高級シャンパンをジャンジャン開けて飲めや歌えの酒池肉林。まるで竜宮城のような接待だったと」
『ふふ、酷い…』
「この腐れ浦島太郎が！」
今まで黙っていた係長鯨岡さんが怒りだす
「ハァ…とんでもない悪党ねぇ。とにかくこのネタは中止！後始末は全部君がやりなさい！こっちおいで！」
そう言って斑目くんの耳を引っ張りどこかへ行ってしまった。お母さんと息子みたいだ
「やっぱりあいつただのアホ太郎やったな」
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作者名：mata.nab | 作成日時：2019年11月23日 9時
