story19 ページ20
濱田side
あれから1週間経った。神ちゃんは未だ目を覚まさず、ジャニーズWESTはグループの活動を1カ月間休むことになった。ちょうど新しいプロジェクトなども落ち着いた頃だったから、公にはしないことになった。
「あいつのせいでなんで俺たちも休まなあかんねん」
「ただの風邪なんやろ？それやったらあいつだけ休めばいいやん」
「ほんまやで。こんなんやったら抜けてくれた方が楽やのにな」
事務所との話し合いの後の会話を聞いて愕然とした。上坂さんが倒れた原因は風邪だと偽ったからか、誰一人として神ちゃんを心配している人はいなかった。
「言うとくけど、神ちゃんは風邪こじらせてるだけやないから。本当のこと知らんでそんなこと言うてたら後悔すんで」
「上坂さんが嘘ついてるって言うん？」
「どうやろな。どうせ俺らが言うたって信じひんやろ。自分の目で確かめるんが一番やないの」
そう言って病院に向かうため、その場を離れた。
なんでみんなは長年一緒だった神ちゃんよりも、上坂さんを信じるんやろ…
そんなことを考えてたら、橘先生から神ちゃんが目を覚ましたという連絡が入った。
「先生！神ちゃんは？」
「おう、お疲れ様。さっきまた眠ったところだ。詳しいことはこの前の会議室で話そう」
この部屋に来るとどうしても緊張する。なんだか、悪いことしか考えられなくなる。
「とりあえず、目を覚ましたから、ひとつ山場は越えたかな」
「良かったぁ…」
照史と目を見合わせてホッと息をついた。でも、橘先生の顔は曇ったまま。
「ただ…智洋は声も出ないし、耳も聞こえていない」
「え…なんで…」
「恐らく、精神的なものだと思う。智洋が心を閉ざす理由は山ほどあるしな」
「そういえば、レコーディングの時…」
あの日、プロデューサーを前に歌おうとした神ちゃんの声が出なくなった時のことを伝えた。
「そっか。じゃあ、その頃から予兆はあったのかもしれないな。今の様子だと、智洋が声を出すこと、音を聞くことを拒絶してる」
そんなになるまで一人で抱えさせてしまった。神ちゃんが言わなかったのもあるけど、言わせない状況を作り上げてしまった。
孤独に慣れてる人なんていない。ひとりぼっちの世界はどれだけ寂しくて、辛かっただろう。
話したくない、聞きたくない。そう強く思うまでいくつの辛い経験をし続けたのか。考えれば考えるほど涙が止まらなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 218人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる(プロフ) - この作品が大好きです…！いつかまた更新される日を楽しみにまっています！これからも頑張ってください！ (2020年11月20日 14時) (
レス) id: 84757d918a (このIDを非表示/違反報告)
ホムヒカニア - 思わず涙が…この作品好きです！これからも更新頑張ってください。 (2019年9月6日 23時) (レス) id: 313b3a8dad (このIDを非表示/違反報告)
レゴブロ - この作品すごい好きです！更新頑張ってください！ (2019年9月1日 14時) (レス) id: 44570defec (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの - 読んでいて、毎回うるうるしています。更新楽しみにしてます！ (2019年8月31日 0時) (レス) id: a85abdd84f (このIDを非表示/違反報告)
? は ま た(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2019年8月27日 20時) (レス) id: 9db9567949 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さりー | 作成日時：2016年6月12日 8時
