君の声を聞かせて3 -Kyuhyun-

言わせない ページ45

嫌でも、どんなに避けても




彼女の思っていることが
分かってしまう。



鈍感だったらいいのに、





そんなこと何度も思った。




でも、反応を見るたび
彼女の瞳を見るたび色を見るたび






わかってしまう。






あの男を忘れていないこと。


俺に…無意識に重ねていること。




そして、それを隠そうと強がって
幾度となく苦しんでいること。





『本当の気持ちを
先輩には伝えないといけない、から』





嫌だ。



涙が出なくなった後の
瞳の潤みが乾いた後の跡が



強くなった瞳が。









嫉妬と不安が、渦巻く。




俺から離れないで、


アイツのことなんて忘れて。





こんなときでさえ謝ることも
嫌な予感に変わっていく。





「……言わないで。」





アイツが、俺だったらよかったのに。



俺だったら、彼女を泣かせずに
一生大事に笑わせていたのに。






こんな想い、しなかったのに。




つくづくあいつが憎い。






好きな女がいるのにAを誑かして
いつの間にか彼女に好意を寄せ



それに気づかず、何度も
苦しませて
泣かせて



心を砕いて。






悪びれもなくまた彼女に手を伸ばす。





それに加え、彼女は彼を
嫌いになんてなれない。



だから、一層苦しんでいた。





「聞きたく、ない。」





そう言って耳を塞ぐと








もう一粒、彼女の目から
涙があふれ出た。

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