君の声を聞かせて3 -Kyuhyun-

すれ違いの重なり ページ25

「だって、どう考えてもAさんは
でしゃばりすぎだもの。」
「…は?」
「キュヒョナに言い寄ってたじゃない。」





後ろ向きでもわかる
ヌナの余裕そうな表情と声。


自信に満ち溢れた全て。





「電話番号まで交換したなんて
一般人のくせに欲張りすぎなの。」
「Aじゃなくて、言い寄ってたのは
そっちの彼氏のほうだろ。」





…イライラする。





「キュヒョナがそんなことするわけないじゃない。

…私にいつも愚痴を零していたし。」





は?

そんなことしてない。



寧ろ、キュヒョナは嬉しそうに
Aちゃんとの時間を報告していた。





…嘘ばっかり。





「…まぁ、こんなこと言ってても
キリがないからやめるわ。」
「…同感。」

「とにかく、私が言ったのは
負担に思ってるから彼に着き纏わないでっていうことよ。」

「同じことそのまんま返すわ。」
「…嫌な人。」





そう言ったのを最後に、彼らは
カフェを出て行った。





「…はぁ。」





なんてことだ。



なんで、よりにもよって
キュヒョナがこんな目に遭うんだよ。




Aちゃんも、話を聞いてるだけで
キュヒョナと同じ




頑固で
意地っ張りで
不器用ってことが伝わってくる。




…あと、二人とも恐ろしく鈍い。






僕が見てる分には、確実に
二人は惹かれあってたはずなのに。







背中を押せば押すほど

二人が近づけば近づこうとするほど



天邪鬼のようにそっぽを向いて。






すれ違いが重なって後戻りできなくなって





離れていく。





「…でも、このことは二人が知るべきだ。」





天邪鬼がどうか治りますように。





…本当の幸せを二人が手に入れるなら
例え、僕が悪者になったとしても






本当のことを気付かせなくてはならない、


そう強く想った。

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