君の声を聞かせて3 -Kyuhyun-

すべてが思い通り ページ1

〜ナソンSIDE〜


玄関を開けると、生活感のない
広い部屋が広がっていた。



いつもだったら、孤独で不安な
やるせない気持ちになるのに…


なんで、今日はこんなに心地よく感じるのだろう?



バックが床に落ちる。




「っ…ふふ…ッ。」




突然、笑いが込み上げてきた。



あぁ、やっと。

やっと彼を自分のものにできた…。



こんなにうまくいくだなんて…

思ってもみなかったわ。




あの個室で見た女の酷い表情が
今でも忘れられない。



眉間に皺をギュッと寄せ
下唇を噛み、手は感情で打ち震え

瞳は潤みが増して揺らいでいて。



あの表情が、私の快感に変わる。




「だって…横取りしたんですもの。」




何もしなければ、関わらなければ
こんなことをしなくても済んだのに。

人のものを、それも私のものを
横取りするのが悪いの。




でも、二人もくっついたようだし


もう、彼女はキュヒョナの
連絡先を消してることだろう。




これで、キュヒョナと彼女の接触は
完全に断たれる。

しかも、喜多川はそれを許しはしないはず。



私たちの邪魔をする人は誰もいない。


そして何より…






Aさんの心が深く傷つけられているんだもの。




そう思っているのに
一番わかっているのに


一つだけ引っ掛かるのは


Aさんと喜多川がキスをした時の
キュヒョナの表情。




まるで、……



いや、そんなこと考えないようにしよう。



暫くは、この心地よい優越感と
ふわふわした感情に浸っていたい。




「俺も好きでした、ヌナのこと。



…ずっと前から。」


そう言ったんだもの。



今は彼を信じたい。

あの子には少しも心が動いてないと
そう思えるくらい深く。




「そう、そうよ…

キュヒョナは私のことが、好きなの。」




だから、さっき思ったことも
すべてが嘘だったんだわ。




そう…



最初からこうなることは決まってた。

全部、全部計画通り。




最後に笑うのは私。

それ以外はあり得ない。

卑怯なのに→

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