転生して火消しになるお話。4 (ページ5)

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紅月ページ5

紅丸side

俺以上に体術に長けているAが肩で呼吸をする程攻撃しても、それでも鎮魂されねェ鬼。

.......コイツのせいで紺炉が.......。

思わず歯を食いしばる。

そしてAが制止する声も聞かず、鬼を連れて上空に飛んだ。

ふと気配が下から下を見遣る。

俺目掛けて飛んでくる矢と、森羅の姿。

.......まぁ矢はアイツが何とかすんだろ。
実際に蹴ろうとしてやがるしな。

矢の軌道が逸れたのが視界に入る。
.......浅草が遠くに見える。

｢こんぐれぇ高さがありゃ充分だろ。くらいやがれ｣

そう言い日輪を出す。
.......が、まだ鎮魂はされてねぇようだ。

｢チッ、紅月ぐれぇ火力が出ねぇと駄目ってか？
.......紺炉の技、借りるぞ？
....紅月、コイツがお前の名前の由来だ。見とけよ？｣

鬼に向かって全力で＂紅月＂を繰り出す。

鬼は鎮魂されたみてぇだが、あまりに全力を出しすぎた。.......発火限界だ。

落下途中で森羅に抱えられ、詰所まで運んでもらう。

｢あれ.......？Aさん.......泣いてますね｣
｢.......あぁ？｣

そう言われて下を見ると、詰所の前で口を両手で覆い、泣き崩れているAの姿があった。

森羅から地面に降ろされる前に腕の中から飛び降り、直ぐ駆けつける。

｢A！！！｣
｢.......紅丸.......｣
｢何で泣いてやがんだ？？｣
｢.......＂紅月＂が、あまりにも綺麗すぎて.......｣
｢は？なんだそりゃ.......
おい、新平太！紅月連れてこい！！｣

そう叫ぶと玄関付近に居たのか、すぐ出てきた。

Aは新平太から紅月を預かると、優しく抱き抱えて空を見つめ
｢ほら、紅月。これが＂紅月＂だよ。ママの.....いや、浅草のどんな闇夜も、明るく照らしてくれる光なんだ。｣
と呟き、泣きながら紅月と額を合わせていた。

そんな2人を見つめていると、遠慮しがちに森羅が近付いてきた。

｢新門大隊長のお子さんですか？｣
｢.......あぁ｣
｢滅茶苦茶可愛いですね｣
｢あたりめぇだ。俺とAの子供だからな｣
｢森羅くん、紅丸を助けてくれてありがとう｣
｢いえ、当然の事をしたまでです！｣
｢キミはやっぱ、ヒーローだね｣

泣いた後の潤んだ瞳での満面の笑み。
正直、滅茶苦茶綺麗だ。

チラリと横を見ると、森羅は顔を真っ赤にさせて笑っていた為思わずケツを蹴る。

｢いてっ.......何すんですか！｣
｢コイツは俺の嫁だ。好きになるなよ？｣
｢.......｣
｢オイ｣

幸せで良かったが、1つ心配が増えた気がする。