入院 ページ34
気付くと、やや見慣れた天井が目に入る。
｢Aちゃん？？なんでまた入院する羽目になってるんだい？？｣
目が覚めて早々、先生に怒られてしまっている。
｢あはは.......｣
｢あははじゃないよ！全く.......。送られてきたデータ見たけど、相変わらず酷く栄養不足みたいだしね。
それに貧血もある。.......一体どんだけ出血したんだよ.......｣
｢吐血とー、あと長刀の貫通でこう.......ドバッと｣
｢.......何でそんな客観的なんだ？｣
｢いやー、1日足らずで治ったしー？実感無いもの｣
ヘラッと笑うと、先生にバインダーで叩かれる。
｢いだっ！！｣
｢.......無理して倒れたら紅月ちゃんも可哀想でしょ。｣
｢.......そうね.......。｣
｢Aちゃん、かなりストレスとか溜めてるでしょ｣
｢.......うん。あのね、もう少し早くに相談するべきだったとは思うんだけど.......この間退院した日から、母乳が出なくなったの。｣
退院した日の夜、いつも苦しくなる筈の胸の張りが無く、搾乳を試みたが一切出なかった。
｢まぁ紅月ちゃんも早産した子とは思えないぐらい元気に育っているから、無理に母乳に頼らなくても大丈夫だろう。｣
｢.......ほんと？｣
｢ただ、そういう症状出たならもっと早く言いな！！｣
｢わかった、わかったからー！！！｣
バインダーを再度高く上げる先生を止めるべく叫んでいると、荷物を持った紅丸と、紅月を抱えた紺炉が部屋に入ってきた。
｢.......爺さんそれくらいにしてやれよ.......｣
｢紅ちゃんからも言ってあげてよ.......この子ホントすぐ無茶するし抱え込むんだから.......｣
｢紅月ぃぃ.......｣
｢ぅきゃぁっ！｣
手を伸ばしてくる紅月を抱きしめる。
｢紅月ごめんねー、母乳卒業です｣
｢あ？｣
｢出なくなっちゃった｣
私がそう言うと、先生は紺炉と紅月を連れ、部屋を出ていった。
｢通りで.......最近Aから甘い匂いが減ったと思ってたんだよなぁ.......｣
｢え。何その嗅覚センサー。こわ。｣
｢.......無茶してねぇか？｣
｢？うーん、うん。してないかな｣
｢.......A｣
強く抱き締められ、そのまま深く口付けされる。
｢.......っ、べにっ.......｣
あまりにも久々に、何度も舌が絡まれ、思わず抱き締め返す。
そっと唇が離れると、紅丸はニヤリと笑った
｢どうした？物足りねぇ顔しやがって｣
｢.....もぅ....｣
｢.......でも、続きは退院してからな？｣
｢.......お預けしてやる.....｣
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作者名：ぴぃ | 作成日時：2020年12月15日 21時
