記憶 ページ28
｢.......Aさん、止めないでください｣
｢嫌だ｣
｢必ず戻ってきます。もう、ショウを1人にはしない！またショウを残して消えたら兄貴失格だろうが！｣
そう言う森羅くんの姿が、何故かにぃにの姿と重なる
思わず、檻を消してしまった。
｢Aさん！なんで消したの！？｣
｢.......私、にぃにに会えた時、凄く嬉しかったの。思い出せた時、言葉にできないぐらい、心が安らいだ。
だから.......2人には和解してほしいって思っちゃった｣
｢Aさん.......｣
思わず唇を噛む。
森羅くんが危ないのは分かってる。でも、似た境遇を味わった事のある私にそれを止めることはできない.......
森羅くんが再度粒子化した時、また私の頭に過去のビジョンが薄くではあるが流れてくる。
きっと伝導者を通して、2人だけでリンクしているんだろう.......それが多少分かってしまうだけかな.......？
ふと象くんを見ると、刃先は正面に突きつけられていた。
｢あっ.......このままだと駄目....｣
過去の映像が流れる頭を抑えながら、象くんの前に立って両手を広げる。
森羅くんは自分の速度を制御する事ができない。
だからといって象くんの刀を奪う時間も無さそうだ。
記憶を思い出したのか、象くんの大きな瞳から沢山涙が溢れている。
すると私のスグ後ろに森羅くんが現れ、私と象くんを2人一緒に抱き締められる。
2人にはきっと、私の姿は見えていないんだろう。
.......本当は私を挟んでやって欲しくなかった。
ちゃんと2人でハグして欲しかった......
｢.......さっき、刀返さなきゃよかったね.......｣
2人のリンクが切れた瞬間、私の腹部を刀が貫通してきた。
｢.......Aさん.......？｣
｢.......2人のせいじゃ.......無いよ.......｣
刃先が長い為、森羅くんにも少し当たってしまったようだが、幸いにも傷は浅そうだ。
｢.......ｺﾞﾌｯ.......｣
口から多量の血が出てくる。腹部も脈打っている。
思わず座り込む。
｢あららー、自分から刺さりに行くと思ってたのに、とんだ邪魔が入ったみたいだねぇ｣
｢ハウメア｣
｢オハロー｣
.......さっき上から見てたヤツか.......
.......森羅くんを護らなきゃ.......
白装束と私達の間に、フェンスのような壁を創る。
｢ダメですAさん！！能力使わないでください！｣
｢森羅くんは.......お前らには渡さない｣
女に目掛けて無数の炎の槍を降らせる。
しかし、狙いが全く定まらず、当たらなかった
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作者名：ぴぃ | 作成日時：2020年12月15日 21時
