潜入 ページ20
早朝。
紅月と紅丸それぞれの額に口付けをして、自室へと向かった。
2人に稽古を付けて数日。
今日、リヒトさんの声掛けもあって、第8と一緒にネザーに行く事になっている。
第8に赴く為サラシを巻き、髪も括りあげ、法被を着る。
そっと玄関まで出ると、後ろから人の気配がした。
名乗らなくても、話さなくてもそれが誰かは分かっている。
｢紅丸、少し第8と出掛けてくるね。｣
｢俺らに何も言わねぇで.......か？｣
｢ごめんね。これは浅草を.......紅丸を、紅月を、紺炉を巻き込む事は出来ないんだ｣
｢そうか｣
後ろからそっと抱き締められる。
｢.......紅丸？｣
｢行くな.......って言っても、Aは行くんだよな｣
｢.......うん。｣
｢無理に止めはしねぇ。.......せめて、無事で戻れ｣
｢.......うん、分かった。｣
そっと後ろを向き、愛おしい旦那様に抱き着く。
｢心配ばっか掛けてごめんね。大丈夫、大丈夫だから。少しの間、紅月をお願い。｣
｢.......A｣
｢.......ん？｣
｢Aを愛してる｣
｢私も、紅丸の事を愛してます｣
そう言い、私からそっとキスをした。
｢行ってきます！｣
｢おう、行ってこい。｣
紅丸に背中を押され、第8へと向かった
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
｢本日付で第8に仮所属しました、A 新門でーす｣
｢.......本当にいいんですか？｣
｢覚悟はとっくに出来てますよ、大隊長さん。｣
｢分かりました。.......まぁ念の為、一応コレを羽織ってて下さい。｣
そう言われ上下の防火服を渡された為、別室で法被を脱いでソレを着る。
おそらく環ちゃんの予備服だろう。
....でも.......
｢.......私には大きいですね.......｣
第8消防官の中で
1番小柄な環ちゃんの服でさえ大きく感じる。
｢すいません、1番小さいサイズがそれで.......｣
｢.......それ以上は言わないで下さい…｣
第8の車.......マッチボックスに乗り込もうとするが、既に満員な感じがする。
｢座れる場所無いよね.......私現地集合にすれば良かったね、ごめんね？｣
｢まぁまぁ、今日は第8の隊員だし大丈夫っしょ｣
リヒトさんはそう言い、自分の膝の上をポンポンと叩く。
そこに何の躊躇もせず座ると、第8の皆に見られる。
｢.......？何、どうしたの？｣
｢2人共、仲良いんですか？｣
｢リヒトさんは私とお友達だよね？｣
｢そうっス｣
｢｢.......怪しい.......｣｣
｢ん？｣
誰も何も返してくれず、そのままネザーの入口へとたどり着いた。
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作者名：ぴぃ | 作成日時：2020年12月15日 21時
