稽古 ページ16
翌日ーー。
今日は早速森羅くんとアーサーくんが稽古の為に来る日だ。
紅月を隊員に託し、久々に高めのお団子に結い、サラシを巻いて法被を着る。
｢今日は必要無いと思うけどなぁ.......｣
紅丸に持ってこいと言われたヘッドホンを片手に中庭へと向かった。
｢おぅ、やっと来たか｣
｢フルで支度するの久々すぎて手間取っちゃった.......2人も待たせてごめんね？｣
そっと法被を下ろす。
｢｢.......。｣｣
｢お前ら人の嫁を見て鼻の下伸ばしてんじゃねぇ｣
｢？とりあえず稽古始めようよ。｣
｢.......はぁ.......A、眼鏡寄越せ｣
｢ん？はい｣
眼鏡を外して紅丸に渡すと、手拭いで目を覆われ、ヘッドホンを着けられる。
｢あぁ.....ヘッドホンってそういう事.......｣
｢.......これは.......？｣
｢そういうプレイか？｣
｢それは言い方に語弊があるが.......｣
｢ハンデって事じゃない？｣
｢｢ハンデ.......？｣｣
他者からしたら、目も耳も覆われた状態はハンデとは言い難いだろう。
でも私からしたら、見えない状態でのヘッドホンは寧ろ武器になる。
必要な聴覚情報しか得られないからだ。
.......紅丸も考えるじゃん。流石大隊長だね。
＿＿＿＿＿＿＿＿
森羅side
目隠しされて耳も覆われている状態がハンデ.......？
同じ事されたら、とてもじゃ無いけど動けない。
半信半疑で2人を見ていると、新門大隊長が急にAさん目掛けて腕を振り下ろした。
.......いや、振り下ろそうとした？
腕を動かした瞬間、前腕で食い気味に止められていた気がする.......。
｢アーサー、森羅、少し移動してみろ｣
新門大隊長に言われた通り、5歩程度足を動かす。
｢ん。アーサーくんが、10時の方向7m先。
森羅君は1時半の方向4m先って所かな？｣
.......ドンピシャだ.......
｢何でだ？目も耳も覆われているんだぞ？｣
｢目は全く見えてないけど.......。やっぱり、ヘッドホンもハンデだと思ってる？｣
｢.......はい｣
｢ふふっ、残念。ヘッドホンは逆に武器です｣
｢？？それで戦うのか？｣
｢違ぇだろ.......多分、聞こえにくくする事に意味があるって事だろ.......｣
｢お、森羅くん正解！不必要な聴覚情報を遮断してるだけよ。.......だからほら、かかってきな？｣
手招きされ、脚に少し力を込める
｢一つだけお前らに忠告してやる｣
｢はい｣
｢本気で殺る気で掛からねぇと、腕や脚なんぞ簡単に折れるからな？｣
｢そこまで本気出さないよ.......｣
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作者名：ぴぃ | 作成日時：2020年12月15日 21時
