転生して火消しになるお話。2

人前式 ページ7

人前式当日。

早朝から白無垢を着せられる。
普通の着物よりもキツく、途中で思わず低い悲鳴が出る。

着終わると遊郭のお姉様にヘアセットやメイクをされ、仕上がる頃には既に疲れきってしまっていた。

｢人前式って何ー、どこで何すればいいのー？｣
と1人項垂れてると、おばさん達は｢大丈夫｣と、手をとり、歩み始めた。

＿＿＿

｢着いたわよ｣と言われ、顔を上げると詰所付近。
周りには大勢の人が居た。

｢ほら、行ってらっしゃい｣
と背中を押される。

通路の奥には、紋付袴を着た紅丸。
あまりのカッコイイ姿に、自然と足も進む。
目の前に立ち、少しの間見つめ合う。

そっと頬に手を添えられ、口付けをされる。
刹那、大歓声に包まれた。

｢今日この時を持って、新門紅丸･Aは
夫婦となった！！！立ち会い人はテメェら全員だ！
良いか！！浅草ァァァァ！！｣
｢｢おぉーーーー！！！｣｣

｢......なんか思い描いた結婚式とは違うね｣
｢嫌だったか？｣
｢ううん。むしろ浅草や紅丸っぽくて大好き。
一生の思い出になるよ｣

そう言い再度口付けをした。

｢.......まだ続きがあるぞ｣
｢え？終わりじゃないの？｣
｢お色直し.......ってとこだな｣

そう言いまた着物屋のおばさんの家まで連れて行かれる。
人前式でもお色直しするんだ.......。

白無垢を脱ぎ、手渡された物を見て思わず固まる。


.......これ、前皇国行った時に見たウエディングドレスだ.......

思わず涙が出そうになるが、遊郭のお姉様に｢化粧が崩れるから泣かないの｣と怒られる。

化粧も髪型もドレスに合うようにセットされ、ドレスを着る。


｢皇国式だと、こういう綺麗な服着るのねえ.......｣
｢紅ちゃんが皇国式の選ぶなんてねぇ｣
｢.......この間2人で皇国行った時、思わず見とれちゃったんです。きっとそれを覚えててくれたんでしょう｣
と言うと、その場にいた全員が｢キャー！！｣と叫ぶ

ほんと、罪深い旦那さんよ.......

背中を押されて着物屋を出ると、タキシード姿の紅丸が待っていた。

普段見なれない姿にキュンとする。

｢.......紅丸のタキシード姿良いね｣
｢お前は何着ても綺麗だ。
さて、お色直し後はお披露目会だ｣
紅丸は私を横抱きにし、纏いに乗る。

｢え、まさか.......｣
｢.......行くぞ｣
｢っーーー！！！｣

低めに飛び、街中を飛び回る。

｢たはっ、滅茶苦茶だなぁ｣
｢これが俺流だ｣
｢うん、紅丸らしくて良い。｣

そう言い、また上空で口付けを交わした。

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