143.ぎゅっと ページ3
玄関に入った瞬間
後ろから抱き締められる。
いつもみたいに
フワッとじゃなくて
苦しいくらいぎゅっと。
A「翔くん苦しいよ」
翔「知ってる」
A「とりあえず中入ろう？ここ寒くない？」
翔「…ん」
A「聞いてた？(笑)」
翔「…帰ってきてくれてありがとう」
A「半分無理やりだけどね？」
翔「…あいつに腕触られてた」
A「触られたというか掴まれたというか」
翔「…指輪、置いてくなよ」
A「あれどうしようね？」
翔「もう！！あーいえばこーいう！！」
クスクス笑うと
眉を下げて困ったように笑う翔くん。
その間に腕からスルッと抜けて
リビングへ入ると
A「…汚い」
翔「や、しょうがないんだって」
テーブルの上はビールの空き缶が数本と
灰皿にタバコの吸殻
床には仕事の紙が沢山落ちてて。
A「もう！」
翔「すいません…」
とりあえず片付けて
気持ちいソファに2人で沈む
翔「疲れた…」
A「てゆか！なんであそこにいたの？」
翔「たまたま」
A「うそ、だってここから最寄りのコンビニあそこじゃないもん」
翔「はぁ…お前ん家に行こうとしてたんだよ」
前髪をかきあげながらいう翔くんに
さっきから心臓がドキドキしっぱなしで。
翔「顔赤いですけど？あれ？？」
A「うるさいな！」
翔「ふふふ、可愛い」
A「可愛くない」
翔「可愛いよ」
耳元で囁かれて
私の心臓は爆発寸前。
A「でもなんで？怒ってたのに」
翔「あの紙袋に入ってたメモ見た」
そう言いながら
右手が腰の当たりを撫でる。
A「…っそ、っか」
翔「ごめんね？俺、勘違いしてて。おいで」
脇に両手を入れられて
小さい子みたいに持ち上げられて
翔くんの膝の上に乗る形になる
A「重いよ？」
翔「ぜーんぜん重くない」
いつもは見えない角度からの
翔くんは
より一層かっこよく見えた。
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作者名：ぴぃ | 作成日時：2021年6月29日 12時
