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岩本side.



佐「ゃ ば、きもちわる ッ」


岩「え、吐く!?」



ごめんなさい、と暴れる彼を

なんとか落ち着けようと腕に閉じ込めていたら

震える手で口元をおさえて

歩きだそうとする。



岩「もうちょい頑張って」


女の子よりも軽いんじゃないかって身体を

ひょいっと持ち上げて姫抱きにして

1番近くのトイレまでダッシュする。


なるべく揺らさないように、

刺激しないように。


まぁ最悪、ここで吐かれても

替えのパーカーを持ってきているはず。

佐久間にも、誰か1枚くらい

なにか着替えはあるだろう。



トイレまで、もう少し。







佐「おぇ、 げほっ、… ッ」


何とか間に合った。

佐久間は俺がトイレにたどり着くまで、

頑張って我慢してくれた。



岩「大丈夫、キツイな。

全部出していいから、」


涙を流しながら嗚咽を繰り返す佐久間の

背中を擦りながら声をかける。


苦しそうにえづきながら、

時々 ごめんなさい。と呟いていて、


それは誰に対して謝ってるんだ?

何をしたから謝ってるんだ?



まさかその怯えの対象が俺自身なんて

頭の片隅にもなくて。


パニックを起こして、

他の何かに対して言っているのだと。

そう、思っていた。




ごめんな、佐久間。


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作者名: | 作成日時:2021年2月23日 21時

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