PIERROT (ページ29)

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岩本side.

追いかけた、なんて言っても

頼りない足取りで

フラフラと蛇行しながら歩く佐久間は

まだすぐそこに居て。

追いついて、

支えようと手を伸しかけたところで、

佐久間の身体が崩れ、傾く。

岩「 … ｯ」

間に合ってくれ。

そう願いながら必死に伸ばした指先は

佐久間の服を捕えていて。

すっぽりと俺の腕の中に収まった佐久間。

思わず安堵して、ため息を漏らす。

岩「お前、危ねぇって。

ふざけんなよ、焦ったー」

俺の手足が長くてよかったわ。

なんて。

口調がちょっと荒っぽいのは、信頼してるから。

別に佐久間じゃなくたって、

親しいと思っている人には、

誰でもこんな感じ。

あとは、何も出来ない自分への苛立ち。

それと、照れ隠し。

今更素直に心配なんて、

どうしても、恥ずかしい。

岩「おい、どうしたんだよ

トイレ、行きたいの？」

少し揺らして、声をかけると

焦点の合わない佐久間の目が見開き

佐「や、ぁ … げほｯ」

ごめんなさい。ごめんなさい。

うわごとのように呟きながら、

俺の腕の中で暴れ始めた。

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