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岩本side.



振り入れの日に初めて抱き、

ケータリングに向かう時にも感じた違和感は、

消えるどころか、

益々色濃く俺の胸の中で渦巻いている。





あの日、楽屋に戻ると、

ふたつのソファーをそれぞれ占領して

眠っていた佐久間と目黒。




少しして、目黒は起きて、

目「ドラマの撮影がハードでさぁ、」

なんて、もちろん大変なんだろうけど、

充実感ややりがいを感じているようで、

愚痴を零しながらも目は輝いていた。






問題はソファーで寝苦しそうに顔を歪めるコイツ。


手は微かに震えていて、

俺の着てきたパーカーを掛けた。





阿部がラウールに勉強を教えている声をBGMに、

スタッフが呼びに来るまで

なんとなくスマホを弄って時間を潰す。




ラ「あ!たくまくん起きてる〜!」

ラウールの声に顔を上げると、

また偽物の笑顔を貼り付けて、

パーカーを返してくる佐久間。




なんなんだ、その気持ちの悪い笑顔は。



なんでお前は、無理をしてでも笑顔をつくる。



痛々しく笑う佐久間にむしゃくしゃして、


どうにも出来ない自分にもイライラして、


なにか俺に出来ることは、と


必死に俺が絞り出した言葉は、


岩「なんかあるんなら、頼れよな」


ぶっきらぼうに、冷たく放った一言だった。


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作者名: | 作成日時:2021年2月23日 21時

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