【SAO】Circus-第一幕- (ページ8)

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もう片方の袖からも純白の手袋が現れると、数秒の静寂が訪れた。

「≪プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。≫」

低く落ち着いたよく通る男の人の声が、頭上から広場に響き渡った。

『(私の世界って…？)』

おそらく頭上のローブが喋ったのだろうと、理解はできたものの、言葉に意味は直ぐに理解できなかった。

今の状況でさえも、理解しがたいというのに…と頭を悩ませ、フル回転させていると、再びローブが喋り出した。

「≪私の名前は茅場昌彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。≫」

―茅場昌彦！

私はその名前に聞き覚えがあった。

いつぞやに現実世界で購入したゲーム雑誌にて、フルダイブ技術についてのインタビュー記事が載っていた。

確かに彼はこのゲームのディレクターでもあるし、ナーヴギアの基礎設計者でもあった。

『(なんでそんな人が…？？)』

収集しきれない混乱した頭を落ち着かせようと深呼吸をするも、それを待たずに三度ローブが喋り始めてしまった。

「≪プレイヤー諸君は、既にメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。

しかし、ゲームの不具合ではない。繰り返す。

これは不具合ではなく、"ソードアート・オンライン"本来の仕様である。

諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない。≫」

『(ログアウト…できない？)』

今までメインメニューのログアウトボタンなど見ていなかったから、そんなことになっていたとは知らなかった。

確かめようにも、今頭上のローブから目が離せない。

そんな中、ローブ―茅場昌彦は言葉を続けた。

「≪…また外部の人間の手による、ナーヴギアの停止あるいは解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合……

――ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、

生命活動を停止させる。≫」

たっぷりと間を含ませて発せられた言葉に、広場に集められたプレイヤーは皆、言葉の内容を理解できずにいた。

『(生命活動を停止…？それって…)』

言葉の意味を考えた途端、ゾッとした悪寒が体中を駆け巡り、鳥肌がブワッと出る感じがして、思わずその場に座り込んでしまった。