夜の雪【薄桜鬼】 (ページ4)

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『雪解け』　沖田総司ページ4

降り積もった雪が、解けるのを待つと新しい季節が色を芽吹き始める。

私は、これまで雪解けを怖いと思った事なんて一度もなかった。
新しく来るその季節をただひたすらに待ち望んで居た。

今日もそんな雪の降る、夜だった。

境内にある階段に座って、空から落ちてくる雪を眺める影、一つ。

　「沖田さん」

――寒くないですか?

そう声を掛ければ、彼は振り返る事もなく「別に」と短く答えた。
雪の降る夜だ。

いつもよりもずっと気温は低く、ずっとここに居れば風邪をひいてしまうだろう。

しかし、彼はそんな心配を汲み取ったように言う。

　「別に僕の事は心配しなくていいし、それに君、あんまり僕に近づかない方が良いよ」

それは、いつもの声よりもずっと静かでまるで雪のように、儚く移ろって消えて行く。

地面に、ついて。
そして何事もなかったかのように、消えゆく。

私はそんな彼の本心を、見えないようにしていたのかもしれないと思う。

　「気付いてるんでしょ。たぶん、僕もそうだと思う。」

たった、二文字を。
口にすることすら重たかったのかもしれない。

そんな、彼の隣に、静かに腰を下ろした。

　「私も一緒に雪を見て良いですか?」

　

　
　