空と夢。【テニスの王子様/氷帝幼馴染トリオ】 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:888 hit

空と夢。ページ5

その日から、しばらくの間はジローもいつも通り過ごしていた。
…というよりも過ごそうとしていた、という方が正しいのかもしれない。

朝練も、放課後練習もいつも通り寝ているジロー。

宍戸「…お前、寝てるふりだろ。」
ジロー「やっぱしバレた?さすが亮ちゃん」

うっすらと目を開けて、そういうジローに思う。

俺は何年お前の幼馴染をやってんだよ、と。
それに俺だけじゃなく岳人も気づいている。気づいていて何も言わないのは、あいつなりの配慮なんだろう。

ジロー「眠れないんだよね、最近。夜しか。」
宍戸「寝てんじゃねーか、ったく。」
ジロー「寝たら夢に見ちゃうＣ、俺。」

あぁ、だろうな。

四六時中、Aにべったりだったジローの姿を思い出す。
たぶん俺たちの中で一番、Aへの想いが強いのはジローだった。

ジロー「そんな都合よく忘れらんねぇＣ。」

世界の色を失った、そう言ってしまえばそうなのかもしれない。

たぶんジローはそんな喪失感の中、生きている。
なんとなくわかる。

【入月A】という人間は、今の15歳のジローのすべてだった。

宍戸「お前さ、Aの事、好きだったんだろ。」
ジロー「あー、そうかも。」

だから、忘れらんないのか。

そう声を漏らしたジローが、自嘲気味に笑った。

　