3. ページ3
結局金曜日の担当になって来週から活動が本格的に始まるということで委員会は終了した。
終わった途端、森本くんは時計を見てばっと立ち上がる。
「わっ、やば！部活結構遅れちった！」
「部活何部だっけ？」
「バスケ！あんまり遅いと話してたんだろって怒られるんだよ〜。Aは部活ないん？」
「私文芸部だから月、火、木しかないんだ。」
「すげー、文芸部で図書委員…ってやっば！！時間！！じゃあAまたな！！」
「あ、うん。」
ぽかんと私の話を聞いていたけれど、部活を思い出すと律儀に手を振りながら走って教室を出ていく。
…なんか、嵐のような子だ。
今日この1時間でいろんな表情を見せてくれて、ぷっと笑えてしまう。
さて、今日は部活もないしどうしよっかな？
委員会とか関係なしに本読める最後のチャンスだから図書室で本読んでから帰ろうかなぁ。
そう思い、すっと立ち上がって2階の図書室へ向かう。
こんな時間に図書室に人がいるのは大体テスト前くらいだろう。
1人で静かに読めるって思って部屋に入ると図書室は夕日だけが差していてまだ明るかった。
「…貸切だ。」
席の方を見ていれば誰もいないし、ちょうど移行期間で図書委員もいなかった。
図書室に1人って中々ないことだからちょっとだけわくわくしてしまう。
後ろ手に組み、小説のところでキョロキョロと本を探す。
まだ見たことないものがたくさん。
この人の話もいいな…あ、これ新しく入ったやつかな？
「どーしよっかなー…あ。」
一人きりの図書室。だと思っていた。
本と棚の隙間から、1列手前の本棚を探す背中が見えた。
私以外にもこんな時間に来る人いたんだ。
…というか、脚長いなぁ…
黙ってその人の背中を見つめる。
ペラっと紙をめくる音とその人がたまにもらす声だけが聞こえる。
数分その本を読むと、その人は元にあった位置に戻し、その場を去ろうとする。
あ、やばいバレちゃう。
その場で少ししゃがみ、一段下の棚の隙間からその人を見る。
「…わぁ…」
口がぽかんと開く。
だってあまりにもその男の子が綺麗だったから。
スラッとした身体にふわっとした黒髪に整った顔。
こんな漫画に出てきそうな人がうちの学校にいたんだ。
急に胸が熱くなる。
なんなんだろ、この感じ？
next
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴこら | 作成日時：2018年5月4日 23時
