拝啓、君へ (ページ4)

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一冊の本は記憶にこびりつきページ4

「私明日死ぬんだ！」
「何故二度も言った」
「大事なことだから二度言いました！テストに出ます！」
「やだよそんなテスト」

どうやら君は本当に死ぬらしく、
でも、本当に死ぬとは思えないぐらい君は明るい。もしかしたら、いや、確実に僕よりも。

「君は本当に明日死ぬの？」
「その質問好きだねー」
ふふふっと笑う。

僕がこんな野暮な質問をするのは何度目だろうか。

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初めてその質問をしたのは、君に2回目にあった時だったはずだ。

「君もその本読むんだ」
「……『明日死ぬ』君か」
図書館にて、初めて君にあった日以来の再開である。

「やな覚え方するなぁ、もっと、こう、なんかいい覚え方ないの？」
「助けて早々の一言目が明日死ぬだったんだ、インパクトありすぎて」
「でしょー。で、その本私も読みたいんだけど」
僕の手から本を強奪する。
「あっ…まあいいや、どうせ読んだことあるし」
君は怪訝な顔をする。
「読んだことある本何でわざわざまた読むの？」
答えに詰まる。
特段理由も無く、小さい頃から好きでそうしていただけだ。気に入った本は、結末が分かっていてもなんども読み返してしまう。

「特に理由はないかな」
長々と理由を言ってやる筋合いもないのでそう答えておく。
「へー」
人に聞いといて随分と興味なさげな反応だ。失礼な奴め。
「まあ私がこの本読む。だからちょーだい」
「なんだよ横暴な」
「だって死ぬまでにやりたいことやっときたいし」
「……」
それを言われるともう僕は何も言えなくなる。唐突に真顔になるのがなんとも苦い。

「だから私はこれ読む、君には私のオススメの本を読んでいただこうっ！はいこれ」
重い空気にさせておいて、君は勝手に自分の世界に戻る。
一人勝手にどよんとしながら手渡された本を見る。

図書館独特のカビ臭いが染み付いたその本は、後々僕を苦しめることになる。

いちご同盟。