346 ページ13
.
A「事故の時も指輪をつけてた」
A「だから多分、その傷は事故の時についたんだと思う」
あの日病院で握った母の手には
しっかりと指輪がついていた
Aは嫌で嫌で仕方なかったのに今はもうそんな気持ちは消えていた
この指輪だけが、子であるAに唯一残された母親の形見だからだ。
栄純「なんか…ごめんなさい」
A「何その顔すごい気まずそう」
栄純「いやなんか思ってたよりもそういう話だったから」
A「別になんも思ってないってば！見つかってよかった」
傷だらけでも、大嫌いな父親から貰ったものでもAにとっては宝物も同然のもの
だからさっき落としたとわかった時ちょっとだけ焦りを感じた
あれをなくしてしまったらそれこそ何も残らない。
A「貰った人や状態はどうあれ母さんの大事な宝物だから、私にとっても宝物」
A「まぁ…そんな宝物簡単に落とすなよって話なんだけど」
寂しそうな、悲しそうな─
でもどこか嬉しそうな顔でAは笑った
今Aが笑った時の顔はどこか見覚えのある感じがしてしばらく考え込んだ
A本人は全くもって分かっていないが。
栄純(なんか今の、ぼんやりとしか覚えてないけどAの母さんにすっごく似てた…気がする)
当然実の子供であるAほど栄純は彼女の母親のことをはっきりとは覚えていない
ただ彼の母がAに対してそうであるように、Aの母親も栄純のことを自分の子供のようにかわいがってくれていた
少ししか会ったことはないが
Aの今の笑った顔とAの母親の笑った顔がほとんど一致して見えた。
A「え、なに？」
栄純「何となく！」
A「何となくで急に頭わしゃわしゃしてくる人初めて見た」
ちなみにAの父親にはあったことがない
Aは小さい頃あまり父親の話を自らすることがなかったし、周りも口を噤んでいた
Aの口から父親のことが語られた時はそんな人とAが似なくてよかったと思ったのは内緒。
栄純「自分でも言ってたけどほんとそんな大事なもの落とすなんてどうかしてるからな、これだからAは」
A「なんかそれすごい言われたくない」
きっと母親に似たから
目の前にいるAはいつも綺麗に笑うのだろう
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちあき(プロフ) - りつこさん» ありがとうございます！！続編頑張っちゃいます:-) (2020年9月7日 0時) (
レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
りつこ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！楽しみにしてます！重荷になったらすみません（泣） (2020年9月6日 19時) (レス) id: 2596a4491b (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - Aさん» コメントありがとうございます、1話からはかなりの長さだったと思いますが全て読んでいただけて嬉しいです！ (2020年9月3日 8時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 文才がありすぎて1話から全部読んで寝不足です(_ _).｡o○御幸推しとしては御幸オチが良かったという気持ちもありますが、、、！面白いです！更新頑張ってください！ (2020年9月3日 1時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - りつこさん» コメントありがとうございます！もー、言葉ひとつひとつが嬉しすぎて騒ぎまくりました…栄純オチが少なかったので私自身読みたくて読みたくてたまらなくて書いてしまいましたね、、応援ありがとうございますとても元気もらいました！！ (2020年8月31日 21時) (レス) id: ea1ceb8449 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあき | 作成日時：2020年8月21日 19時
