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A(言えたようで言えてないんだよなぁ)
走り込みを始めた大勢の部員たちを見送ったあと自嘲気味に笑ってはしゃがみ込む
そこで思い出したのはついさっきの出来事
Aがやっと声に出して自分の本当の気持ちを口にした瞬間だ。
A(あんなに近い距離にいたのに聞こえてないとか、どんだけ小さかったの)
思うのは簡単だけれど言葉にするとなると難しくて、恥ずかしくて、なかなかきっぱりとできることではない
言いたいことはきちんと言う性格のAでもこればっかりは無理だ
好きのすの字も言えそうにない。
A「ぎゅって、された……」
自分自身の好きだよ発言もそうだが
向こう側の行動もなかなかにある意味ネジが数本ぶっとんだ行動で死にそうなくらい顔が熱くなる
肩におでこをつけられただけかと思いきや後ろからぎゅっとされたのだ
正直あの瞬間すぐにいつものように裏拳をお見舞い仕掛けたがグッと堪えただけ成長を感じてしまう。
A(無理無理無理無理、あんなの無理だよ)
A(好きって、好きって言えるわけないじゃんバカバカ!!!!!)
このままズルズルと引きずったらあっという間に新年になってあっという間に2年生になり
あっという間に3年生になりあっという間に大人になってしまう
多少どころか大きな焦りに襲われているのだがやっぱり勇気が出ない。
A(あーもうどうしよう!!いつも通りにすればいいのにそうはいかないんだもん!!)
A(それなのに合宿明けも一緒とか…もう私寮に残ろうかな…)
いつも通り、それが出来ない
冬合宿を乗り越えれば寮暮らしの部員は一斉に実家に帰るのがお決まり
夏と違い誰ひとりとして寮に残ることはない
寮に残ろうかと真面目に追い込まれたAは考えてしまうがそれは実現するわけがない話だ。
A(まずさ、まさか…まさか好きになるだなんて思ってもなかったというか!!)
A(だって相手はあの馬鹿で声がでかくて元気すぎて前向きすぎるやつだよ?そうなるとは思わないじゃん!!)
今更感が強いがなんで好きになったのか不思議でたまらなかった
好きになった理由なんてとっくの前に出ているはずなのに未だにそう感じてしまう
A(でも……ただの馬鹿じゃないもん…)
A「今日こそ、言えますように!!」
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マリイ - 丹波さん好きだけど小説無いんで丹波光一郎の小説も書いて欲しいです (2020年8月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年8月2日 12時