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A(そういえば合宿後の帰省も一緒なんだもんなぁ…)
最初は慣れなかった寮での暮らしももうすっかり慣れてしまった
それくらい居心地がよすぎるし、みんなと一緒にいるのが時間を忘れるくらい楽しい
僅かに与えられた冬休みに向こうに帰省する際もAは当然栄純と同じことを思い出しては
また湯船のお湯に潜り込んだ。
A(やだな、ずっとずっと夏でいいのに)
A(嫌いだった夏がこんなにも好きになるなんて)
告白の返事にも迷い
そして今が冬という現実に嫌気がさしてきた
冬が来るということは次は当たり前のように春が来る
春が来るということは大好きな3年生全員が卒業してしまう。
A「………好きって言うの、意外と難しいな」
今までのことが一気に思い出されてきた
良くも悪くも1度考えると止まらなくなってしまうのがAのクセのひとつ
この1年今までの辛さが嘘のように思えてくるほど濃く、輝かしい思い出が増えた。
A(あっっつい、でも何でだろうあの時と比べればそんなに熱くない気もする)
A(夏の予選でのスタンドの熱気、あとは…)
自分の唇に触れては思い出し
急に一気に顔に熱が集中する
このままでは逆上せて湯船の中でとんでもないことになってしまう
焦ったAはすぐに勢いよく湯船からあがり濡れた髪を拭きながら脱衣所へと向かった。
A(事あるごとにそれを思い出すの、何とかならないの?)
A(なんか…こう…1度すると忘れられなくなるのすごい困る)
言葉にしなくても伝わる何かが欲しかった
きっと頑張って伝えようとしてもあの馬鹿相手には多分通じることはないだろう、なんなら1000年経っても無理そう。
今まで好き放題言ってきたのにこれだけはどうも簡単にいかない。
A(好きってもしも言ったら、どうなるんだろう?)
A「付き合う、のかな」
そう思った瞬間やっと引いてた熱気がまた押し寄せてきた
本当に考え出すとキリがないし、前までこんなことは微塵も考えたことがなかったのに
やっぱり自分でも違和感を感じるし、不思議な感覚に陥る。
A「いやいや、まさか…」
必ずそうなるとは限らない、そう思って
パジャマ代わりのモコモコのパーカーを手に取った時
事件は起きた
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マリイ - 丹波さん好きだけど小説無いんで丹波光一郎の小説も書いて欲しいです (2020年8月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年8月2日 12時