【◇】Starting Over 7 (ページ23)

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紙袋の中身を確認してみると

アルバム数冊に、小さな袋

その小さな袋の中には母親が生前たまに見につけていたネックレスが入っていた。

栄純「おじさんはいい人だったな」

A「そうみたい、あんまり顔を合わせたことはないけれど」

栄純「なーんであんな人からあんないい人が産まれてくるんだろうな！ほんっとに不思議だ！」

A「ほんと、そう」

今日は練習開始まで時間があるため

Aはそのまま食堂にいることにして袋の中身をひとつひとつ確認することにした

とはいってもネックレスを見つけたくらいしか進んでいないが。

春市「そういえば…何事もなかったかのようにしてるけど栄純くんいいこと言ったね」

栄純「え？なんか言ったっけ」

降谷「Aは俺が幸せにするんだから勝手にどっか行くなよ…って、言った」

アルバムに手を伸ばそうとしていたAの手が降谷の発言を耳にした瞬間

ピタリと止まった

春市はニコニコ、降谷はムッと、栄純はダラダラと汗をかき始める

春市「あの時の栄純くん、恐れ知らずなところがすごい役に立ってたね」

降谷「なんかすごい嫌」

春市「あれ、ほとんどプロポ…」

栄純「あーっ！春っち！あんなとこにお兄さんが！！」

春市「……照れ隠し？」

あの時はただただ必死だったから

そんなに意識をすることはなかったが

しばらくたった今、思い出すとかなり恥ずかしいというか気まずい言葉

それでもAはちょっと嬉しかったり。

春市「よかったね、Aちゃん」

A「いや別に…そんな」

春市「早く言ってあげないと、栄純くん拗ねちゃうよ？」

A「出た、意地悪春市くんの顔」

どっか行くつもりは全然ない

むしろ今離れたらきっとそれこそ辛くなる

今はもう完璧に─

栄純「何だよ、別に…思ってたこと言っただけだし深い意味はねーよ！！」

A「なんも言ってないじゃん、てかもう充分幸せだしこれ以上幸せにされたら溶ける」

栄純「え」

春市「あ」

降谷(素直…？)

ふいっと真っ赤になった顔を背け

最終的にはゴンッと勢いよく音を立てて机に突っ伏してしまったA

これは珍しく超デレデレ素直モード

ここまで素直なAは珍しすぎる。

栄純「い、今のもう1回！！くれ！！」

A「断る！！」

栄純「大きい声で！」

A「やだ！」