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「またあの坊や…前もこうして邪魔してくれたわよね、覚えてるわよその子を渡して」
食堂の扉をめちゃくちゃ勢いよく開けて鬼のような形相で入ってきたAの祖母
ほんっとうに諦めが悪いし、もう顔が完全にブチ切れ状態。
栄純「嫌だ!さっさと帰れよオバサン」
「おばっ…誰に向かって…!!」
栄純「つーかA、結婚だとか色んな約束あるけどそれよりも優先することあんだろ」
A「約束…」
恐れ知らずな性格はこういう時にも役に立つのか怒り狂ってるAの祖母を前にしても
全然普通の顔して接していく栄純はさすが入学する前に東に喧嘩を売ってただけはある。
栄純「甲子園、行くんだったらこっちが先だ」
A「あ……う、うん」
栄純「あとAは俺が幸せにするんだから勝手にどっか行くなよ」
A「え、ちょ、それ…」
とんでもないことを言い出しさっきまで怒ってたAがたちまち弱々しくなり
ついにはその場に座り込んでしまった
恐るべし鈍感力と自然なプロポーズ。
栄純「嫌だってあれだけ言ってんだからもう諦めろよ」
栄純「大体散々好き勝手言って傷つけて泣かせてきたアンタの選択がAのためなわけねーじゃん」
この言葉を前に
我に返ったのかバツが悪そうな顔をするAの祖母
Aはそれに同意するかのようにこくこくと強く頷き返した
もうここは全て任せてしまおう、多分Aが言うよりは断然効果がある。
栄純「アンタと一緒にいて、Aが1度でも笑ったり幸せそうな顔したことあったかよ」
「それは…!!」
栄純「もう答え出てんだろとっくの前から…アンタらには無理だって!」
割と少しずつかっこいいなぁと感じることが多くなってきていたが
今この瞬間が今までで1番めちゃくちゃ輝いてかっこよく見えて仕方ない
なんならあれ、こんなに頼もしかったっけ?と疑問に思えてくるレベルだ。
A「…………おばあちゃん」
A「私だって本当は…家族になりたかった、でも……私のこと本当はなんとも思ってないんでしょ」
ならやっぱり答えはたったひとつに限る
もうこれだけは譲れない
それに約束を果たしたいし行きたい場所がある
A「お願いします、帰ってください」
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マリイ - 丹波さん好きだけど小説無いんで丹波光一郎の小説も書いて欲しいです (2020年8月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年8月2日 12時