277 ページ38
.
A「暁くん…」
たった今、一瞬だけ途絶えた
降谷の代名詞でもある唸りを上げる豪速球の音
その音はまだこれから、負けるつもりは全然ないと意思を示し仲間の背中を押しているようだった
栄純「まだまだ！！まだまだこれから！！」
そんな莫大なオーラを放つ降谷の隣で
素直に声に出す栄純
栄純「さぁ！もう1発いっとけ！」
A「栄純まで…2人はまだまだやる気なんだ、戦う気なんだ」
この2人はまだ全てを諦めていない
この試合は自分たちが、青道が勝つと心の底から信じている
そして相手の声に包まれながらも木製バットを握りしめる彼もまた同じだろう。
落合(1つ目のアウトで硬さが取れ、2つ目のアウトで勢いに乗られたこれはいよいよまずいなぁ)
甲子園のかかったこの試合に求められるのは内容ではなく結果
御幸「小湊」
春市「はい」
重要なこの場面、監督はクリーンナップである3番 春市と4番 御幸を呼び
指示を出すかと思いきや…
片岡「向こうは勝ちを意識してストライクを欲しがるはずだ、そこを見逃すなよ」
片岡「来た球を素直に打ち返す、それだけなんだろう？迷わず打席に立てよ」
監督の口から語られたのはこれをこうしろ、ああしろといった指示ではなく背中を押す言葉
少し前に落合コーチに単純に力が足りないと指摘されていた春市は
この状況も重なり迷いを感じていた
─え？打席で考えていることですか？
─来た球を素直に打ち返す、それだけですかね
かつて監督に聞かれてそう答えた春市
その言葉を監督はずっと覚えていて、今この瞬間大事なものに気づかせてくれた
自分がいつもどんな気持ちで打席にいたのかを思い出した春市が大きく目を見開く
前園「行ったれ！ラッキーボーイ！！」
御幸「積極的に打ちにいけよ」
栄純「打てるぞ春っち〜！！」
そして背中を押してくれているのは
監督だけじゃなく先輩やブルペンで投げ続けてる同級生2人も同じ
降谷と栄純は必死にブルペンから気持ちを送りまくっている
純「まだ終わらせんじゃねぇぞ！！」
亮介(春市…)
9回表 ツーアウトランナーなし
追い込まれた青道、ここで反撃となるか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあき | 作成日時：2020年7月28日 22時
