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いきなり手を出すことはせずここは慎重に様子を見ていくことを決断した御幸
1球目、2球目、3球目も威力のあるストレートが次々と投げ込まれ
バットを振りにいくものの
御幸(コイツ、俺の時だけ…)
結果は3球三振
得点を決めるチャンスだったが御幸は雷市の球を打ち返すことが出来ず
自身の攻撃を終えワンアウトへ
雷蔵(やっぱ雷市を苦手にしてんな、あのイケ補…この先の打席も全部雷市をぶつけるか)
三球三振といういつもならありえない結果を出してしまった御幸は
打席で悔しそうに歯を食いしばり
次に打席に入る前園とすれ違うと…
御幸「悪ぃ、あれだけ荒れてると絞りきれなかった」
前園「！」
御幸「高めか低めか、大きく的を絞った方がいいぜ」
チャンスの場面で決めることが出来なかったことを気にしているのか
謝ってはアドバイスを残しベンチへと戻っていった
そんないつもと違う様子の今の御幸を見て前園は戸惑いを隠せず。
貴子「御幸くんがチャンスで尽く凡退…」
純「どうしたあの野郎」
亮介「初球の見逃しもらしくないね」
相性が悪いだとか
読み切れないとかスタンドで言われているが…
A「相性が悪いとかそういうのがあったとしてもさすがにこれは…」
A(もしかして相当怪我が影響してるの？)
相性が悪いにしても
バットにボールすら当てることが出来ないなんてらしくない
どんどん心の中で大きくなる不安
スカートを握るAの手は嫌なくらいじっとりと汗ばんでいく。
礼(御幸くん…)
─降谷くんと病院行くけど、あなたも来る？
─俺は大丈夫ですよ、それより試合見ておきたいし
─本当に大丈夫なんだな
─はい、問題ありません
成孔との試合後、礼ちゃんが念の為病院に行くかと聞いたら
問題ないときっぱりと断った御幸
チームのためにと彼は今も自分の意地を貫き、その体に起きている異変を隠し続ける。
A(一也が大丈夫と言ったんだから、信じることしか出来ない)
A(止めてしまったら…一也の気持ちを台無しにするだけだから)
大丈夫だと言った
それがたとえ強がりで大きな嘘だとしても
Aはそれを信じてこの試合を見届けるしかない
もしも本当にダメなんじゃないかと感じたらここからベンチにだって行ける。
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作者名：ちあき | 作成日時：2020年7月28日 22時
