【◇】Starting Over

33 《秋大 帝東戦》 ページ34

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栄純「いいか！トイレに行く時は迷子にならないように気をつけろよ！！」

A「はいはい」



春市「階段はゆっくりね、Aちゃん転ぶから」

A「あ、はい…気をつけます」



降谷「絶対勝ちます」

A「うん、ありがとう」









試合当日球場につくなり3人に色々言われるA

1番最初と最後はともかく、春市の言ったことは本気で注意していないとすぐ転ぶから

心がけておかなくてはならない









栄純「勝ったらご褒美、お願いしやす！」

A「やだよそんなのでいちいちご褒美与えてたらキリないじゃん」

栄純「むむむむ…じゃあ返事を！！」

A「やだ、いいから早く行ってよ倉持先輩がすごい形相で見てるから」

栄純「ほーらすぐそうやって誤魔化す！！」









あーだこーだ言ってる栄純の背中を全身を使って押しまくるA

こうでもしないとピクリとも動かないので本当に困る

普段はこんなだがバリバリの現役球児、鍛え抜かれている証拠だ。







春市「栄純くんさっさとしてくれない？」

栄純「ぶ、ブラックだ！！ブラックエンジェル小湊！！」

春市「ほんとうるさい、嫌われるよ？」

栄純「それだけは嫌だあああああああ」







Aが困った顔をしていたのを見かねた春市がなんと

か黙らせて一緒に先を行く先輩たちの方へと走っていった

小湊兄弟はうるさい相手を色んな意味で黙らせるのがとても上手。







A「あー、もうどっと疲れた…早く唯先輩たちと合流しないと」







背番号18と4が見えなくなるくらい見つめたあと思い出したかのように踵を返し

スタンドへと向かう

偶然、本当に偶然トイレの前を通り過ぎようとしていたその時






「あ〜〜、乾さん遅いなぁ…もうベンチ行かなきゃなんないんだけど」





どこか気だるげな声が耳に入った

声の主が誰なのかよりもまず先に「乾さん」というワードに反応し

Aはつかつかと歩いていた足を止めた。









A(乾さんって…帝東のあのキャッチャーさん)

A(私が初めて一也以外の人ですごいって思ったキャッチャー)







Aが足を止めるとその声の主も気がついたのか顔を上げる







「ねぇ、あんた」

A「は、はい…」






この人は多分じゃなくても帝東の人だ

足を止めないでさっさと歩けばよかったとこの瞬間強く後悔した

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