【◇】Starting Over

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あれから一夜明けてAは普通に昨日のことがなかったかのように振舞っていた

声のトーンも普通、いつものように笑顔

でもその笑顔はどこか無理しているようなそんな顔だった。









─やめて！！

─こんなものいらないじゃない

─これは…お母さんが私にくれた大切なものなの！！

─だから何、もうやらなくなったならこんなものは必要ないあなたにはあんなことさせないわ

─私の事が嫌いならさっさと追い出せばいい！！これ以上母さんを馬鹿にしないで！！








A(やめて、嫌だ、こんなの望んでない)

A(捨てないで、それは…お母さんがくれた大事なものなの)








捨てられたくなかった大切なもの

初めて握ったバットも、初めて使ったミットも

スパイクも全て大切な母親がくれた大事なプレゼントだったのだ

捨てられたくないと必死に反抗したが結局は新品のスパイク以外のものは全て捨てられた。








A「やめて！！！！！」







母親の形見も何もない

お葬式の時も悲しいのに泣けず、ずっと祖母を初めとした親族たちの母親と自分の悪口が絶えなかった。








A「ハァ…ハァ…」

A「なんだ……夢………か」







思い出が詰まっていて、努力した証で

母親がくれた大事なものを捨てられた時のこと

そして母親を亡くした時のこと

地獄だと感じていた父親とのこと…嫌なこと全てを思い出し

Aは悪夢に魘され叫びながらベットから飛び起きた。









A(まだこんな時間…朝まで全然…)

A(寝れない、寝たらまた嫌なことを思い出しそうで怖い)







パジャマから適当に着替えて

汗ばんだ首元を涼しくするために少し短い髪を束ねる。

今日は1日中作り笑いをして不安をかき消してばかりいて疲れたからぐっすり眠りたかったのにこのザマだ。








A(さすがにこの時間なら誰も起きてない)

A(明日、というかもう日付が変わったから今日か…来るんだよね、あのクソババア)









答えはもう出ているはずなのに

はっきりとしない自分自身の気持ち。

監督にはお前がいてくれたらチームは大きく助けられる、だが決めるのはお前次第だと言われた

それからもう決まったと思っていたのに。









A(監督、あんなことを言ってくれる人だったんだ)

A(あんなに怖い顔してるのに不思議な人)

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