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改札へ入り、電車を待ちながら横にいる彼は何度も溜息をついていた。
それがなんだか気まずく、無理やり彼に話を振る。
「いろんな方とお知り合いなんですね」
そう声を掛けると彼は「えっ?」と私を見た。
「いろんな方というのは……鬱ゾムとか、です?」
「はい!あとチーノさんともお知り合いだったなんて。我々だの方々と仲良しなんですか?」
私が馬鹿みたいにニッコニコしながら尋ねると、本当にバカを見る目で見てきた為、本当にバカなこと言ったんかなと不安になり真顔になる。
「えっと……?まだわかってない感じです?」
「分かってない、とは?」
尋ね返すとアハハハと大きく口を開けて笑われてしまった。
「ほんまにわかってなかったんすね!なるほど!……いや、実はね、僕、裏方なんすよ。我々だの。」
黙っててすみません、と頭を下げて言われる。
「えーっ!そうなんですか!……どうりでさっきシャオさんとトントンさんのお名前も出てきたわけですね!!謎が解けました!」
「あんまり表立って言えることちゃうからなるべく人には言わんようにしてたんです。黙っててすみません」
彼はもう一度頭を下げる。
「とんでもないです!むしろ私、聞いちゃって大丈夫ですか?誰にも言わないと約束しますので!」
「あれだけメンバーと絡んでたら俺から言わんでも誰か言うてたと思うんで問題ないっすよ」
「あと、チーノさんとお約束されてたんですよね?私のせいですみません……」
そう伝えると彼は何度も首を横に振る。
「ちゃうんすよ!チーノは鬱先生と2人でゲーセン行きたがってたからちょうど良かったんすよ!」
彼の話からとあるゲームが頭に浮かぶ。
「あ、もしかして噂のDDR部ですか?」
私が尋ねると彼の目線がすぅーっと右上に移動した。
「あー、えっと……そうです!DDRっていうゲーム!俺も鬱先生からずっと誘われとってんけど、チーノは鬱先生と2人で遊びたいらしくて……」
「……あれ?ショッピくんは?」
DDR部にいるはずの推しの名前が出ず、思わず彼の言葉を遮ってしまった。
「ショッピ、は……確か姪っ子が遊びに来てるとかでしばらく遊ばれへんって言ってたかな」
またしても彼は右上に目線を合わせている。
「姪っ子さんか……」
私も姪っ子に産まれたかったと気持ち悪いことを考えていると電車が来た。
帰宅ラッシュということもあり、ぎゅうぎゅう詰めの車内ではあまり話もできず私の最寄りまで何も話さず電車に揺られた。
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くゆる(プロフ) - すずらんさん» すずらんさん、こんにちは。コメントとTwitterもフォロー頂けて嬉しいです。応援して頂けるとやる気に繋がります!これからも読んで頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2020年2月11日 15時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
くゆる(プロフ) - 紅茶さん» 紅茶さん、遅くなってすみません。ありがとうございます。お言葉に甘えて無理せず更新しすぎてコメントすらも遅れてしまいました。ごめんなさい!相変わらずのんびりになるとは思いますがこれからも読んで下さると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2020年2月11日 15時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - おはようございます、更新お疲れ様です。いつもとても楽しみにしております!応援させてください! (2020年2月9日 6時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 大好きです!!!!更新無理せず頑張ってください!!!応援してます! (2020年1月5日 21時) (レス) id: 203f8de236 (このIDを非表示/違反報告)
くゆる(プロフ) - ゆきなさん» ゆきなさん、明けましておめでとうございます。遅くなりすみません。オコメチャンきっと感無量です!イケメンかな?ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。 (2020年1月5日 1時) (レス) id: f8c0fb5fa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くゆる | 作成日時:2019年10月28日 22時