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高校2年
僕と高地はクラス替えを経てまた同じクラスになり
苗字に沿った席順なので席も変わらず前後になった。
相変わらず僕らは親友で、北斗との交流も続いていたのだが
1年の終盤から世界中がウイルスの脅威に見舞われ、3人で会う頻度は徐々に減っていった。
縮んだ距離が少しずつ離れ、薄れていく。
酷く寂しくて、儚いことだった。
時間は刻々と過ぎていき、間もなく春が終わろうとしていた。
放課後の教室にて
僕は一人、桜吹雪の舞う窓の外を眺めている。
帰りのHRで、強風警報が出ているから気をつけて帰るようにと担任から話があった。
誰もいない薄暗い教室に、ごうごうと激しい風の音が籠る。
外にはたちまち砂埃が立ち込め、何も見えなくなった。
「…大我、帰んねーの？」
「っうわ！」
突然呼びかけられ、僕は驚いて腰を抜かした。
声のした方に目を向けると、教室の入口に高地が立っていた。
「高地…！びっくりした、」
「こっちのセリフだよ。外見たまんま動かないから、石になっちゃったのかと思った」
「なんだそれ。面白くねーな」
「ひどい」
高地はクスクスと笑いながら僕の隣に座る。
「だーれもいないのな」
「…ちょっと前までは、この時間も賑やかだったのにな」
「うん…あー嫌だなぁ、静かなのも、桜が散っちゃうのも。
…最近大我達と全然遊べてねーのも嫌」
「…それは、しょうがないだろ」
「……うん、しょーがないね」
高地はぎこぎこと椅子を揺らし、僕はささくれを気にする。
…お互い、本心では無いのだ。
「……明日の補講」
唐突に、彼が言った。
「校舎裏に集合な」
「何するんだ？」
「……久々に、逃避行しようぜ」
僕らは2人で悪い笑みを浮かべた。
「うん、行こう」
興奮で喉が震えた。
……やっぱり、こいつは最高だ。
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作者名：ななみや | 作成日時：2023年7月9日 18時
