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僕と高地は高校1年の時、席が前後であることをきっかけに仲良くなった。
彼は誰に対しても明るく穏やかで、人の懐に入るのが上手かった。
普段口数の少ない僕でも、彼の前ではやけに饒舌になり
母親に厳しくしつけられた丁寧な喋り口調も、砕けた口調になった。
彼は友達が多く、僕は遠慮してなるべく自分から関わろうとしなかったのだが
「大我といるのが1番落ち着く」なんて言うので、自然と一緒に居るようになった。
間もなく5月に入ろうとしていたある日。
校庭の桜が散る頃だから、花びらが舞うのを見ながら弁当を食いたいと高地が言い出した。
運動部なんて脳筋しかいないと思っていたのに、なかなか趣のある趣味をしている。
……いや、それとも。
僕らは屋上に足を運び
校庭の桜を眺めて弁当を食べながら、薄らと感じた違和感を彼にぶつけた。
「高地お前、彼女いるだろ」
「…え、いきなり何？」
高地はきょとんとして僕を見る。
「…屋上、下見に来たんだろ」
「あ〜……彼女と来るためにってこと？」
それはどーかなぁと彼がへらへら笑うので
僕は少し腹が立った。
「隠すなよ。分かってんだよ俺は…。お前みたいなタイプは大抵、幼なじみの可愛い彼女とこっそり愛を育んでんだよ」
半ば出任せのそれに高地ははっと表情を固まらせ、箸をぽろりと落とした。
「……な、なんで知ってんの」
まさかの図星だった。
「……え、マジなの？幼なじみ？アツ…！同じ学校？写真見せろよ」
「待ってダメ、今は無理！絶対紹介するから、心の準備が整うまでちょっと待って」
高地はぐいぐいと問い詰める僕を抑えて、困り眉で笑みをうかべた。
「…今度、部活がない時にでも会わせるから。そん時は優しく迎えてくれたら嬉しい」
きっと何か言葉にできない事情があるんだろう。
そんな風に言われてしまえば、黙って肯くしかなかった。
数日後
喫茶店で対面した彼の彼女は、繊細そうな見た目をした美青年だった。
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作者名：ななみや | 作成日時：2023年7月9日 18時
