桜のあと (ページ35)

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「ぁ…っ、たいが…」

開いたままの北斗の唇から、たらりと涎がこぼれた。
僕は舌で舐めとって、そのまま唇を重ねる。

「はぁ……ん、っ」

えろいな。ほんと。
さっきからずっと、蕩けた視線が好きって訴えてくる。

…言葉では言われたことないけど。

「…動くよ」

「ぅ…、ぁ…っ！まっ…！」

「はぁ…ごめん。」

「だめ…っ、だめ、ぇ……っ」

「…ん、気持ちぃね」

北斗は僕にしがみついて、必死に快感に耐えていた。

始めてみる北斗の乱れた姿に、僕は自分を抑えられなくて
優しくできる余裕なんてなかった。

…時々、北斗は違う名前を呼ぶから、その度に所有印を付けた。

自分の中にこんな獣が住んでいるなんて、僕は知らなかった。

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翌朝。

北斗のベッドで僕は目を覚ました。

北斗は背中合わせに眠り、すやすやと穏やかな寝息を立てている。

柔らかい朝の日差しが北斗のふわふわの髪に当たって、金色に光っていた。

「…綺麗」

…好きだ。
どこをとっても愛おしい。

朝日を浴びた美しさと昨晩とのギャップに、どしよもなくやられてしまう。

…昨晩、北斗は、不安定でぐちゃぐちゃな精神状態で
それでも僕に触れようと手を伸ばした。

戸惑いながらも僕にしがみついて喘ぐ北斗を見て、背徳感と異常な興奮に酔った僕は…それは激しく抱いてしまった。

「…北斗。好きだよ。
…でも、気持ちを押し付けたいわけじゃない。

正直嫉妬もあるけど…高地のことを忘れられない北斗のことも、好き。
ぐちゃぐちゃなのに、僕を受け止めようとしてくれて嬉しかった。

…僕のことをなんだと思ってくれてもいいから…これからもそばにいさせてほしい」

…これは、聞こえていなくてもいい。

これからの北斗に委ねよう。

「…また連絡するね」

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