桜のあと (ページ20)

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2週間後少しもやもやした気持ちを抱えたまま、ステージ当日を迎えた。

携帯には北斗からの楽しみにしてるね、というメッセージが入っている

「大我ー！リハーサルしよう」

ステージの設営をしていたジェシーから声がかかり、僕はふぅっと指に息をふきかけた。

ステージは、淡い桜色で彩られている。
ジェシーが演出に拘って照明を変えてくれたのだ。

「大我の初ステージ。俺も1ファンとして楽しみだな」

「…いやいや、ジェシーはメンバーでリーダーだろ。頼りにしてるよ」

僕がジェシーの手を握ると、彼の手は汗をかいて少し湿っていた。

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湧き上がる歓声

爽やかなメロディ

共鳴する、ジェシーの声

僕は光の中にいた

会場の空気に、僕は一気に飲み込まれた。

「っ、！盛り上がっていきましょう！！！」

……楽しい、北斗

聴こえてるか。…届いてるか、ちゃんと。

観客席は暗くてよく見えない

だけど僕は、すこしぎこちない北斗の笑顔を容易に思い浮かべることができた

…3年前、彼が高地の隣で幸せそうにしているのが嬉しくて、でも少し苦かった気持ち

…今抱いている、複雑な思い

それらすべてを歌にして、吐き出した

…もう、気づいている

この激しい胸の高鳴りは、躍動と興奮のせいだけじゃないということに。

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