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大学の講義は前期の授業が終わる頃
僕は最後の期末テストを受けるため
テスト範囲のテキストを確認しながら電車に揺られていた。
7月も後半に入り、本格的な暑さが東京を襲っている。外はもはや天然サウナだ。
熱でゆらゆらと揺れる景色に眉を顰め、
北斗は元気にしているだろうか、とふと思った。
北斗とは最近会っていない。
大学で服飾系の勉強をしている彼は
前期の最終課題でドレスを1着納品しなければならないらしく、製作が忙しいそうで。
商学部の僕はレポートやテストの出来でしか評価を出されたことがないため、北斗がどのくらい大変なのかと言うのがいまいち検討がつかない。
だからとにかく邪魔をしないようにと、連絡や会う事を控えるようになり、もう半月程が経つ。
…そろそろ会いたいな。
その時、携帯がポケットで震えた。
淡い期待は外れ。
ジェシーからだ。
『今日スタジオ来れる？』
メッセージをみて、ふぅと息を吐いた。
…色んなものが一気に動き始めると、僕は欲張りになってしまう。
今の僕には、音楽もあるのだ。
テストが終わったら行くよ、と返信を打ち、僕はテキストに目を戻した。
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「いよっしゃあーーー！前期終わりーーー！！！」
テストを終えてスタジオへ出向くと、ジェシーともう1人の音楽仲間、慎太郎が腕を組んで喜びの舞を舞っていた。
慎太郎はジェシーと長い付き合いで、高校生の頃組んでいたバンドメンバーでもあるらしい。
僕にも初めてあった日から「きょもさん」と呼んで懐いてくれている。
「あっ、きょもさん！お疲れー！」
「お疲れ様」
僕はにこりと笑って、早速ギターに手をかけた。
遊び程度にしか触ったことのなかったギターも、最近様になってきた気がする。
慎太郎がドラム、ジェシーがベース、僕がギター。
そして僕とジェシーでボーカルを務めるスリーマンバンドの構成で、例のカラオケに行った翌日から僕らは始動した。
今はまだ音合わせの段階だが、今年中には箱や文化祭で披露出来たらいいよねなんて話している。
音楽は楽しい。自分一人ではできない音の重なりを聴くと、毎度新鮮に興奮する。
「大我！ちょっといい？」
僕がチューニングをしていると、ジェシーにちょいちょいと手招きされた。
「今後の方針について、ちょっと聞いてもらえる？」
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作者名：ななみや | 作成日時：2023年7月9日 18時
