第1章 不死鳥と呼ばれる少女 5 ページ6
映像に移った少女は何かを叫んでいるようだった。
そして叫びおえた瞬間、石から放たれた紫の光に身を包まれ、光の中から化け物が姿を現し、石を持っていた少女はその化け物の後ろで魂がぬけた抜け殻のように倒れていた。
「ひぃっ・・・!!」
アージェはその映像にひどくおびえた。
目の前に映し出される生々しく、禍々しい化け物。
まるで、恐ろしいホラー映画を見ているようだった。
「あぁ・・再生する場所間違いました。もっと前から再生するつもりだったんですが・・万姫、この前ここまで映像見たんですか?」
誠人はしれっとした顔で万姫に問いかける。
万姫は「まぁね」とだけ答えた。
そして、美香は誠人からリモコンを取り上げ、映像を消した。
「み・・美香さん?」
何故消したのか不思議そうに問う誠人に美香は微笑んだ。
「アージェさんが怖がっていたものだから・・・つい・・。」
美香は優しくアージェに微笑みかけた。
アージェはその笑みを見て落ち着いたようだった。
「今の映像でわかっていただけたと思いますが、この石は化け物を生み出す石なのです。」
落ち着いたアージェの様子を伺いながら、誠人は話を進めた。
「この石の名は人を破壊するという意味で簡単に「ブレイク」と名づけられました。」
誠人は手に持っていたブレイクのケースをショーケースの中へと戻す。
「ブレイクは人の持つ欲望に反応し、その欲望をかなえるために一時的に人間に力を与えます。人間はその手に入れた力で自分の欲を満たす・・・。しかし、どんなものも一度ついた欲望の火種はなかなか消せない・・・。人間の欲はふくらみ続ける・・・。」
誠人は美香に手を伸ばす。
美香はため息をついて誠人にリモコンを返した。
そして、誠人は先ほどの化け物の現れた映像を映し出した。
「石は人間の欲望を増幅させ、人間の欲望を餌に力を蓄えます。そして・・」
誠人が何かを言いかけたそのときだった。
サイレンが部屋に鳴り響いたのだった。
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作者名:鳳かおる | 作者ホームページ:http://vanpaiatatinoohimesama.web.fc2.com/
作成日時:2014年6月10日 15時