【APヘタリア】その怪盗、見習いにつき。

クイーンは薔薇がお好き 1 ページ48

「待って！ギ…うさぎさん！」

茂みが私の行く手を阻むけど、
そんなの気にもせずに走り続ける。

帽子屋が歌っていた歌の歌詞は、確か…

「忌みのうさぎを追いかけて…」

葉をかき分けて、
ひとつの道に出た。

「全てを赤に変えるべく＿＿＿＿」


私の目の前には、


それはなんとも真っ赤な城がそびえていて。


少し先ではフェリシアーノとロヴィーノが、

せっせと白薔薇を赤のペンキで塗っていた。


「全てを、赤に」


アリスもこうしていたはず。
うさぎは見失ってしまったし…

「…トランプ兵さん、お手伝いしましょうか」


二人は目を丸くして、
でもすぐにわかったような顔で、
私に事情を説明した。

「女王は赤がお好きなんだ」

私はペンキ塗りを代わり、少しあたりを見回した。

「薔薇園…」

バラが好きな、人がいたような。
私の姉だっけ。


「…姉？」

自分で紡いだ言葉に違和感を覚える。

「私の名前は、」




「時間がねえ！」


とたた、と聞き覚えのある足音。

「！」

赤の正反対＿＿＿つまり、''忌み''の白ウサギが
城の中に入っていった。

私はすべてのバラが赤くなっていることを確認して(それまでに全部塗った記憶はないけれど)、



城の扉をギィ、と、開けた。




そこで私が目にした人物は＿＿＿






「これから、


女王のタルトが盗まれた件について…



裁判を開廷する」

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