アリスは夢の中 2 ページ45
「!」
上から、大きなケーキが近づいてきた。
鈴のなるような、静かで凛とした声と共に。
「菊、さん…」
「いいえ。私は帽子屋です」
いつものように、にこりと笑うと、
彼は片膝をついて私に話しかけた。
「私の肩に乗ってください。そのケーキ、食べながらでいいですから」
「で、でも!」
「お茶会でもしましょう。
これは強制イベントですよ、アリス」
そう言って私を膝に載せると、
ふわり、と、彼からは菊の香りがした。
「西洋の服なんて慣れないです」
ぼそっとそう言ったので、
「ごめんなさい。私たちが巻き込んだようなものだもの」
と謝る。
「いいえ、楽しいことは好きです。もう引退した身ですから。
…何でもない日万歳!、ってね」
少しおどけてみせる彼に笑っていると、
みるみるうちに私の体が大きくなっていくのがわかった。
「これはいけない、アリス。少し、失礼しますね」
その言葉に疑問を持つ時には、
私の唇は帽子屋に奪われていた。
「…は、っ」
何で、と口を開く前に、
彼は「すみません」と謝った。
「食べすぎて大きくなるのを防がなければと思いまして。
…今のは、貴方の飼っている犬には内緒に」
白い手袋をはめた手で、
人差し指をたてて困ったように笑う彼を見ると、
なぜだかそのまま黙りこくってしまった。
「こんなことしている暇はないのでしょう?
ただ、話すことがいっぱいあるのです。
"エンディング"に繋がる道も教えてあげます。
だから少しだけ、お茶会をしましょう。
三月ウサギと眠りネズミも、
貴方を待っていますから」
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奏理奈(プロフ) - 元気そうで良かったです(*^^*)次の更新を楽しみにしてます! (2017年12月29日 18時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - 奏理奈さん» ありがとうございます!忙しいのですがなんとか時間を作って来れています(っ´ω`c)コメントありがとうございます〜! 奏理奈さまもお体に気をつけてくださいませ〜(*´`) (2017年12月29日 0時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
奏理奈(プロフ) - 最近更新早いですね!嬉しいけどお身体にきおつけてください(*^^*)ここで止められると続きめっちゃ気になります! (2017年12月28日 18時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
奏理奈(プロフ) - 久しぶりにアーサーメインですね!ルート導入による先のてんかいが楽しみです!更新頑張ってください(*^^*) (2017年12月27日 20時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - めりかなさん» アーサー「おかえりなさいませ、主。こんな時間まで夜更かしして…私と過ごすのを待っていたのですか?ああ、プレゼントはいつもの3倍の賃金で結構ですよ。二人きりで、良いクリスマスにしましょうね?」 (2017年12月25日 0時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hometotop/
作成日時:2017年10月3日 0時