【APヘタリア】その怪盗、見習いにつき。

仮面とカクテル 2 ページ14

「仮面舞踏会…？」

「そう。ここヴェネチアは世界一大規模な仮面舞踏会が開かれるんだ」

怪盗一味が、
街中のカフェでこんな話をしていいのでしょうか。

「僕たちが狙う『誘惑のルビー』。
なんでも、それは会場に展示されるらしい」

「展示…ですか」

マシューが声をひそめる。

「だけど困った話、
仮面舞踏会はカップルしか入れないんだよ」

「…！」

アーサーがぴくりと耳を動かす。

「俺とマシューは指示を出すボーイをやるよ。
あとはその3人だけど、A…君は紅一点だから宜しく頼むぞ。それで、カップルのもう片方だけど」

「A様、是非私とっ…」

「相手役とは別に、
完璧に盗める人が1人必要なんだ。
屋根裏で待機するから、なるべく上手い人がいい」

つまるところ、

双子がボーイとなると…

菊さん×私か、アーサー×私のカップルどちらかだ。

その2人のうち、盗みがダントツに上手いといえば…

「…不本意だけれどよろしくね、アーサー」

「そんなっ…！」

「アーサーさん。私は盗みを知りませんし、
それに…」

何か菊さんがアーサーに合図を送った。

「ぐ…」

アーサーは口を固く結ぶと、

「…わかった。それで良い」

珍しく納得がいった様子。

「よし。じゃあ会場の下見だけして、ゆっくりしよっか」

「あ、でもホテルとかどうするの？」

「何言ってるんだい？泊まるのは俺たちの別荘だぞ」

「え''っ」

こ、こんな場所に別荘…！？

何故この双子は怪盗をやっているのか、
ますます不思議です。

「舞踏会は明後日の夜ですから、今日中にドレスも見繕った方が良いかと。A様」

「そ、そうね」

「此処には沢山お洒落なお店がありますねえ」

そうして、私たちはカフェを離れた。








「…ね、聞いてた？兄ちゃん」

「ああ。ベッラだったな」

「もー、そうだけど違うってばー。



ふふ、楽しみだね〜。Mascherata(舞踏会)♪」

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