【APヘタリア】その怪盗、見習いにつき。

仮面とカクテル 1 ページ13

「…あなた達、さては金持ちね…」

「？何のことだい？」

フライトキャップに耳が隠れていない、双子。
飛空挺持ってる二十歳前が何処にいるか！

「A様だって、十分裕福でいらっしゃいますよ」

アーサーの隣に座って、にこにこ笑うお稲荷様。

「裕福じゃないから、今こんな必死こいてお宝狙ってるんです。アーサー、貴方だって給料…」

「それは毎晩戴いてるじゃないですか。ねえ？」

「ち…ちかい」

私の顔を覗き込む、タダ働き執事…。

「お二人とも、少なくともここでは破廉恥なことは
致さないで下さいね。」

菊さんがぽつりと言った。

「ははは破廉恥！？」

「あら。違いましたか？」

にこにこ笑う菊さんの耳と尻尾は、すでに収納されている。

「アーサー、そんな睨まないの」

まだまだ仲良くなるのは先かなぁ。

アーサーはそっぽを向いてしまった。

「…次の宝なら俺が探してやるのに」

「アーサーさん、少し耳を貸して下さい」

「あ？」

「今回、ルビーは1つだけです。
私達か、双子組か、
手に入れられるのはどちらかだけ。

もし、私の言う通りに動いてくださったら…

一週間、私は貴方達の屋敷から離れましょう」

「！！！」

ガタッ、とアーサーが座席を立った。

「あー、シートベルトしろって言ったろ！」

「元気ですね〜」

「ちょっと、どうしたの？」

アーサーは勢いよく私の方に顔を向けると、

「A様。
今回のルビー、必ずや手に入れてみせます！」

「？う、うん。そうだね…？」

がしっ、と私の両手を包み込んだ。

その様子を見て、なにかくすくす笑っている菊さん。

「(私、貴方の主人の屋敷に居座るなんて一言も言っていないのですが…まあ面白いので良し)」

「みなさん、着きましたよ〜」

マシューがゴーグルを外す。



「Fooooo!! ついに来たぞ、ヴェネチア！」

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