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毒を食らわば 3 ページ8

お賽銭箱を超えて、本殿への扉を開ける。

「うー、なんか悪いことしてる気分」

「怪盗が言ってどうしますか、A様」

というか、警備がガバガバなことにびっくり。

盗られでもしなきゃ、
札を守る本殿の扉がこんなに開いているなんて…

「…ん?盗られ…」



「盗られましたよ」



「ひゃあっ!?」

目の前に現れたのは、

ふわふわの白い耳に白いもふもふの尻尾、

それを染めるような烏羽色の瞳に艶のある髪…


の、少年?


「貴方は?」

私の前に片腕を広げ、アーサーは警戒して言った。

「ここの稲荷ですよ。
そこのお嬢さん、私は少年ではない」

「すっ、すみませんっ」

「はぁー…。困りました。
今までは全て追い返して来たのですが」

額に手を当ててお稲荷様は唸った。

「申し訳ないですが帰ってください。
私呪いかけるのに忙しいので」

の、呪い…!?

「いや貴方達ではなく。
先程盗んでいった双子の兄弟ですよ」


双子…?

私達と同じ、怪盗?

「片方は頭脳明晰、もう片方は勇壮活発。

…普段は人間の苦手なものを幻として出すことで
退治していたのですが、今回はしてやられました」

「札が無くなったら、どうなるのです?」

アーサーが尋ねる。

「この神社は落ちぶれ、やがて人の信仰心も薄れるでしょう。呪う力すら弱まってきていますから、
私はもうじき消えて無くなります」

諦めたように彼は笑った。


「私達が取り返してきます」

「…え?」

お稲荷様はあたふたとして、

「見ず知らずの私に、何故このような…」

「オイナリサマ、
まだ返すなんて言ってないでしょう?

だけど、

その双子の匂いくらい追ってくれたら…

少しは考えましょうか」

私は微笑んだ。

「…!」

「A様。取り返してどうするおつもりで」

「そんなの取り返した後に考えるわ。
まずは札が先。アーサー、きてくれる?」

跪くアーサー。

「仰せのままに。我が主よ」

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奏理奈(プロフ) - 元気そうで良かったです(*^^*)次の更新を楽しみにしてます! (2017年12月29日 18時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - 奏理奈さん» ありがとうございます!忙しいのですがなんとか時間を作って来れています(っ´ω`c)コメントありがとうございます〜! 奏理奈さまもお体に気をつけてくださいませ〜(*´`) (2017年12月29日 0時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
奏理奈(プロフ) - 最近更新早いですね!嬉しいけどお身体にきおつけてください(*^^*)ここで止められると続きめっちゃ気になります! (2017年12月28日 18時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
奏理奈(プロフ) - 久しぶりにアーサーメインですね!ルート導入による先のてんかいが楽しみです!更新頑張ってください(*^^*) (2017年12月27日 20時) (レス) id: ea9afaeba3 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - めりかなさん» アーサー「おかえりなさいませ、主。こんな時間まで夜更かしして…私と過ごすのを待っていたのですか?ああ、プレゼントはいつもの3倍の賃金で結構ですよ。二人きりで、良いクリスマスにしましょうね?」 (2017年12月25日 0時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hometotop/  
作成日時:2017年10月3日 0時

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