File.18-47 ページ8
あんな場所にノイシュバンシュタイン城だなんて、如何な富豪が建てたのやら。とは思っていたが、真逆ここで香坂家に繋がってくるとは。
「横須賀のお城って、あのCM撮影とかに良く使われる?」
「はい...元々は曾祖父が建てたもので、祖母がずっと管理してたんです」
蘭ちゃんと夏美さんが城に関しての遣り取りを繰り広げる中、少年が魔鏡の光を畳んだ事で西野さんが室内灯を付けてくれる。一気に明るくなった室内の光量に一瞬目を細めてしまうが、直ぐに慣れた視界に数回の瞬きを繰り返した。
「夏美さん、2つのエッグは貴女のひいお祖父さんが作ったものじゃないでしょうか?」
「「...!?」」
室内灯に慣れた視界のなか、立ち上がった毛利探偵が冷静に口を開いてみせた其に、集まっている面々が驚愕の視線と空気を纏わせて場が静まる。
「貴女のひいお祖父さんは...ロシア革命の後で、夫人と共に自分が作ったエッグを日本に持ち帰ったんです。恐らく、この2個目のエッグに付いてた宝石の幾つかを売って横須賀に城を建て...このエッグを城の何処かに隠したんです!」
近くに日本警察の救世主という、とんでも無い化け物がいる所為で気付き難いが、偶に推理を的中させてくる事がある。とは言え、今回は真ん中というよりは的枠位かも知れないが。
「そして、城に隠したというメッセージを魔鏡の形で...別のエッグに残したんですよ!」
城にもうひとつのエッグ、という話は信憑性が高い。
行ってみる価値はある。が、後一押し確信が欲しいところでもある。
「あの、実は...図面と一緒にこの古い鍵もあったんですが、これも何か...?」
然う言って夏美さんがバッグから取り出したのは、金色の厳しい鍵。一体どんな錠前に挿したら嵌るんだと言うようなウォード錠タイプで、先端の形状は複雑過ぎてピッキングする気も起きない見た目をしている。
態々香坂喜市氏が仕上げた鍵なのだとしたら、余程大切なものが収められているのだろう。
「それこそ!2個目のエッグを隠してある所の鍵に違いありません!」
高らかな声を上げて、推理が当たっているだろう事を喜ぶ毛利探偵。
と、
「宝石付いた幻のエッグ...」
「もし、それが見付かったら10億...いや、15億以上の値打ちがあるぜ!」
「.....」
明らかに邪念しか無い雰囲気を漂わせ始める面々。
.
34人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪兎。 | 作成日時:2024年3月23日 21時