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File.13-4 ページ32

𓂃 𓈒𓏸*⋆ஐ




幸運を呼ぶ真珠『漆黒の星-ブラック・スター-』。



鈴木財閥に代々受け継がれる、鈴木家の守り神とされる真珠は鈴木史郎氏のお爺様を魅了して以来、鈴木財閥を支える象徴ともされている。世界最大の黒真珠は現在米花博物館で開催されている『世界の宝石展』の看板として、世界最大のゴールデンパール『黄昏の星-トワイライト・スター-』と共に光り輝いている。



「ねえ...今回の仕事、私も交ぜて」



筈なのだが、先程観てきた真珠達は如何見ても偽物。



まあ世界最大を謳う真珠であり、家宝というより御守りのような扱いの宝石を、一博物館に預けるという無用心さを見せないのは当然の判断だが。



「良いぜ。あの真珠が気になるんだろ?」



「んん...、.....えー、まだ返ってないのかな...」



以前に頂戴したゴールデンパールは記憶に新しく、とある名探偵に預けたのも確かに覚えている。というのに博物館に展示されているのが偽物だった事もあり、きちんと鈴木史郎氏の手元へ戻ったのか、それとも動線の道中でアクシデントに遭って未だ実現していないのかが分からない。



可能性として、そのとある名探偵が小学生へと逆戻りした所為で頓挫している、なんて事も考えられる。かといって、大々的にニュースになってない以上私が直接聞く訳にもいかない。キャロルの誰かなら訊ねられるが、あの小学生が工藤新一だなんて彼等が知っている訳も無いのだから。



米花博物館からの帰り道。相変わらずの雨模様に傘を踊らせつつ、出した提案を快諾した上で考えすらお見通しらしい快斗に苦笑して、傘を回しながら肩を竦める。



「ともかく、先ずは本物を見せてもらうところからね」



米花博物館から真珠を盗み出したとて、所詮は偽物達。盗む前に本物の真珠を月明かりの下に持ち出させるところから始まるとなると、それなりの長期戦になりそうだ。



「そうなんだよなぁ...。まあ、夕飯食いながら作戦会議と行こうぜ」



一向に止まない雨に陰鬱とする事の無い笑顔に頷いて、帰路から逸れながら夕食の買い出しにとスーパーへと脚を向ける。



「何食べたい?たまには私作るよ」



普段から朝食は勿論、休日の昼食や夕食、更には夜食に至るまで彼が作ってくれる。のは良いのだが、愈々申し訳無い上に自分の家事能力が下がりそうで危機感すらある。



ただでさえ、快斗の方が料理が上手な気さえするのだから恐ろしい。






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作者名:雪兎。 | 作成日時:2024年2月21日 3時

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