【wrwrd】ph13【kn】 (ページ1)

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reverie ページ1

その日は少し体調が悪かった
朝起きると頭痛が酷く、市販の鎮痛剤を飲んでも一向に良くならない

日曜日だということでかかりつけの病院も開院しておらず、仕方なく少し遠方の病院へと足を運んでいた

幸い直ぐに診察も終わり、処方してもらった少し強めの鎮痛剤を飲んで足早に帰路につく
薬が効いたのか、家に帰ってきた頃にはもうほとんど頭痛は収まっていた

1人暮らし用のワンルームのアパート、その4階の角部屋が俺の部屋である
鍵穴に鍵を差し込み、くるりと回せば心地よい音を鳴らして鍵が開いた

「ただいま」

ドアを開けそう言った途端、中からパタパタと足音が聞こえてくる
しばらくもしないうちに、その足音の主は俺の前に姿を現した

「おかえり、シッマ！大丈夫だった…？」

「おん、大丈夫やったで。ただの偏頭痛やって」

出迎えてくれたのは、俺の彼女であるA
もう良くなった、と言えば「良かったぁ！」と言ってはにかんだ

「温かいもの飲みたいわ…お茶いれてくれんか？」

「ほうじ茶で良い？」

「おん」

「わかった！」と言って再びキッチンへとかけていくA
俺はソファに身を沈めて、ゆっくりと息を吐いた

僅かに見えるキッチンで、Aがお湯を沸かしているのが見える
その左手の薬指には、キラリと光る銀色のリング。

俺とAは、数ヵ月後に結婚を控えている
数ヵ月後というのは、Aが「折角だから記念日に婚姻届出したい！」と提案したからだ

区切りもいいし俺も了承し、現在は婚姻届だけかいて大事に保管してある

ちなみに同棲はしていない
結婚前に同棲していると、結婚した後にマンネリ化することもあるらしいし

なにより「ずっと一緒に居られる」という幸福感を味わいたいので、お互いの意思で結婚までは同棲しないことにしていた

「お待たせ！」

「おん、ありがとうな」

Aがほうじ茶を運んできてくれる
お礼を言って受け取り、1口飲めば渋い味わい

真冬の外気に晒されていた体が段々と暖まり、ほっと一息ついた
…ところ、Aがクスクス笑っていることに気がつく

「…何笑っとんねん」

「ん？…いやー、美味しそうな顔して飲むなぁって」

「そうか？」

「うん。幸せそうな顔して飲んでる」

「………それは、お前が」

「え？」

「なんでもない」

"それは、お前がいつも傍に居てくれて、俺の為にお茶を淹れてくれるのが幸せで堪らないから"

そう素直に言えるようになりたい