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阿部ちゃんが前にめめと探してたのとは全然違う方向にあるのも、きっと計算済み。
だって阿部ちゃんが知っている場所だったら、俺を頼る必要がなくなるから。
「こんな方だったんだ。」
「そう、ここ。」
しかも、一番低い、目線がいきにくいところ。
阿部ちゃんがしゃがんで、必要な年度を探し始める。
ねぇ、今なら、さ。
衝動に任せて、阿部ちゃんに覆い被さるように、本棚へ手をつく。
ここまで、計算されたことなんだとしたら、笑っちゃうよね。
「っ、さ、くま。」
突然覆い被さられて、俺の方へ目を見開いて振り向く阿部ちゃん。
「ごめん、偶然、滑っちゃって。」
「そう、なんだ。」
張り詰めた、空気。
互いに、目が逸らせない。
この世界に二人だけ、みたいだ。
「ねえ、このまま俺が、偶然バランス崩したら、阿部ちゃんは、逃げる？」
また、僅かにだけど見開かれた目。
ごくんと、阿部ちゃんが唾を飲み込んだのも、分かった。
「…逃げない、よ。」
「そっか。」
ずるり。
更に下へ体を下ろせば。
いや、偶然バランスを崩せば。
阿部ちゃんの、唇。
初めての、ほんの数秒触れるだけの、キス。
「バランス、崩しちゃった。」
「でもこんな偶然、きっともう、二度と無いね。」
「…そうだね。」
これ以上、主を裏切る訳にはいかない。
俺らはそういう運命に、生まれてきた。
「ファイル、見つかった。
ありがとうね。」
阿部ちゃんは俺を避けて立ち上がると、足早に書庫を去った。
バタンという重い扉の閉まる音が、阿部ちゃんと俺の間にある見えない壁みたいだなと思う。
「結局、笑顔見れてないし。」
はは、と乾いた笑いが虚しく零れ落ちる。
無理やり言葉を交わしても、唇を奪っても、結局はこれだ。
初恋はやっぱり、実らないらしい。
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葉子(プロフ) - さつきさん» こんにちは。お読みいただきありがとうございます。好きだなんてお言葉いただけると単純なのでクルクル踊り出しちゃいそうなくらい嬉しいです。切ないskabちゃん推進委員は常に会員募集していますので！会員様大歓迎ですー！末永く共に活動して参りましょう！ (12月24日 8時) (
レス) id: 829da725a0 (このIDを非表示/違反報告)
さつき(プロフ) - こんにちは。いつも楽しく拝見している、さくあべ担です。切なさとキュンさのバランスが好きです。私も切ないさくあべちゃん推進委員会の会員になりたいです！これからも執筆楽しみにしています。 (12月23日 20時) (レス) @page46 id: 0d24bdd115 (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - かおるさん» ありがとうございます！かおる様の励ましたがあったのでこんな無謀な連載並行ができました…！切ないさくあべちゃん推進委員会ぜひ入ってください！切ないさくあべちゃんはまじジャスティス！をモットーに布教して参りましょう！（笑） (2020年7月22日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - ゆきんこさん» 仕事で荒んだ心で書きましたが、幸せな気持ちと言っていただけると、私も幸せになれます。誕生日にも触れてくださり感激です…！私が勝手にゆきんこ様のコメント欄へ現れるので、必ずやお会いすることになると思います。その際はよろしくお願いします！ (2020年7月22日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
葉子(プロフ) - ゆーと@さん» わー、切ないさくあべちゃん推進委員会ぜひご加入ください！しかも推しカプのリバなのに受け入れてくださったなんて…！加えて応援もありがとうございます！もっともっとさくあべちゃんを好きになっていただけるよう推進委員の仲間として頑張ります！（笑） (2020年7月22日 23時) (レス) id: f3c5f4857a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉子
| 作成日時：2020年6月28日 22時
