風邪8 ページ8
成亮Side
時刻はもう7時半だ。
そろそろ飯を作らなければならない。
「俺、そろそろメシ作ってくる。
柔らかめの雑炊だったら飲み込めそう？」
少しはお腹に食べ物を入れてほしくて、食べれるか確認する。
「…って…」
「ん？」
俺が聞き返すと、Aは恥ずかしそうに呟いた。
「まって…もう少しここにいて？」
そういうことか。
素直に甘えてきてくれるのが、可愛くて嬉しい。
「いいよ。
今日は、ご飯ゼリーにでもする？」
祐のいない2人っきりの日なんて、祐が産まれてからどれくらいあったのか分からないほど久しぶりだ。
今日くらい、何もしないでただただゆっくりするのもいいかもしれない。
「だったら、ずっとこっちに居てくれるの？」
「うん。」
頷くと、Aは嬉しそうに笑った。
そして、すぐにしょぼんとした顔になった。
「あ、でも、成亮さんのご飯…」
こんなときなのに、俺の心配をしてくれる。
こんな何気ないところにも、Aと結婚できて幸せだなんて思う。
「俺も今日はひたすら休む日にするわ。
カップ麺でも食べようかな？」
「えー、いつもは栄養バランスとかうるさいのに？」
「寂しがり屋の奥さんが、一緒にいて欲しいって言うからね。」
からかうようなAにカウンターを喰らわせると、Aは口を尖らせた。
それからAが寝るまでの間、俺らはいろんな話をした。
だけど、大体は祐絡みのことで。
祐が産まれていない頃みたいだなんて思っても、やっぱり時間の流れを感じしみじみとする。
気がつけばAはウトウトし始め、疲れていたのか10時には眠りについた。
翌朝、嫌がるAの耳で体温を測ると、平熱まで下がっていた。
「下がった下がった！
祐くんのとこ行かないと！」
体温計を見た途端に着替えだそうとするAをヒヤリとしながら止める。
「まだダメ！
病み上がりなんだから。夕方にかけてまた上がるかもしれないし。」
「えー…成亮さんは仕事に行くのに？」
今日は土曜日だから、Aは仕事が休みだ。
「お願いだから、おとなしくしててよ。」
不満でも診察や治療をされるよりマシかと思ったのか、Aは思いの外素直に返事をした。
結局、Aが祐に会えたのはその翌日で、中々離れようとしない祐に、Aは嬉しそうな顔をしながらも苦戦していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな - このお話大好きです！更新まってます！ (2019年3月15日 20時) (
レス) id: 370aedeca5 (このIDを非表示/違反報告)
まさ - 更新楽しみにしてます！ (2018年12月30日 11時) (レス) id: 1a9a4a3f85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませて頂いております。リクエストなのですが、主人公ちゃんが体調を崩してしまったけど、それを隠してシゲと外に出かけてその出かけた先で主人公ちゃんが倒れてしまうようなお話が見たいです！ (2018年11月20日 7時) (レス) id: d682aba4cc (このIDを非表示/違反報告)
はるあ(プロフ) - 増田くんお医者さんバージョンも見たいです！ (2018年11月12日 11時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
gaku2010aya(プロフ) - はじめましてです。いつも楽しく読んでます。もしよければ、ゆうくんが体調を崩して入院してしまうお話が読みたいです。よろしくお願いします (2018年11月11日 23時) (レス) id: 745be5a5f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アキ | 作成日時：2018年11月4日 10時
